桃色の指先と翡翠の憂鬱 53

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お弁当の包みを開いて、いただきますと手を合わせて食べる。

今日のお弁当も佐久間の力作。



川島先生が寝坊することが増えて、佐久間が作ってくれてる。

毎日たこさんウインナーに黒ごまで目を付けて、卵焼きには桜えび入り。


C｢たこさんウインナーだ｣

阿｢これはあげない｣

本｢阿部先生、この頃おかず交換してくれないです｣

C｢俺と交換します？？｣

本｢やった。C組の先生のお弁当って、奥さんですか？｣

C｢お父さんか妻が｣

阿｢教務主任、料理上手なんだっけ？｣

C｢The男の料理。休みの日にカレーを5時間かけて作ったり楽しそう｣

本｢カレーは手を出したら、深みにハマる…｣

阿｢今夜、カレー食べたくなった…｣

C｢川島先生に頼んだら？｣

阿｢自分で作ろうかな、みんな忙しいし｣

C｢みんな？｣

阿｢…｣

本｢今、ニューヨークとロンドンから友だち来てるんですよね？｣

阿｢…そうそう。今ね、5人いるから｣

C｢川島先生って2人が良いって感じ｣

本｢そんな事ないですよ。俺が遊びに行った時も阿部先生の友達呼んでたし｣

阿｢川島先生は人を招くの好きだからね｣

C｢俺、呼ばれたことないんですけど…｣


C組の先生を家に呼んだら、教務主任も呼ばないといけなくなる。

阿｢舞台が終わったら、ぜひ｣

本｢また猫ちゃんに会いたいです｣

C｢川島先生の手料理楽しみだなぁ｣


佐久間にはふっかの家か下のこーじの部屋に隠れて貰おうかな…。

川島先生に呼ぶことも含めて相談しよう。

断るとしても、川島先生なら上手い嘘を考えてくれる。




阿｢俺の話じゃなくて、不登校の相談じゃないの？｣

C｢やっぱ原因は副担ですよね｣

阿｢たぶんね｣

C｢片想いなのかなぁ。でも、俺がどうこう出来る問題じゃないし。俺が嫌いとか合わないって言われたら、対処のしようがあるのに｣

本｢合わないって言われたら？｣

阿｢副担の先生に話してもらったり。保健室登校とか、俺は仲良しの子がいて来られるならそのクラスに一時的に移動もありだと思う｣

C｢どうしよう｣

本｢家庭訪問とか？｣

阿｢家に押し掛けることがストレスになるかもよ｣

C｢川島先生に相談してもいい？｣

阿｢話しておこうか？｣

C｢阿部先生、お願い｣



手を合わせて頼まれてしまった。

C組の先生と教務主任には日頃からお世話になってるし、いつかお招きしたいとは思ってた。

本当は佐久間がニューヨークにいる間がベストだったな…。

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