桃色の指先と翡翠の憂鬱 53

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主寝室のベッドで明かりを落として本を読む川島先生の隣に入った。


佐｢んじゃ、のえちゃんあべちゃん、おやすみ｣

阿｢一緒に寝ないの？｣

佐｢さなぴーの部屋に布団敷いて寝る｣

川｢おやすみ｣

阿｢如恵留は知ってたのね｣

川｢ええ｣

佐｢提案したのはのえちゃんだよ。起きた時に俺がいた方が喜ぶって｣

阿｢ふーん｣

佐｢あべちゃん、顔が怖いから｣

阿｢如恵留と2人で寝るよ｣

佐｢キスは禁止ね。おやすみ｣

新橋色ちゃんと白群色ちゃんと枕を抱えて、佐久間が出て行った。



川｢キスは禁止だそうです｣

阿｢いつまでかな…｣

川｢しても、佐久間は怒りませんよ｣

阿｢今夜はやめておくよ｣

川｢では、腕枕は？｣

阿｢よろしく｣

川島先生の右腕を下に布団の中で抱き締められる。



川｢斗真が無礼を働き申し訳ないです｣

阿｢無礼ではないよ。聞いた？｣

川｢はい。僕は阿部先生に天文学で院に行ってはと進言しました。経営を学ばなくて良いですからね｣

阿｢勉強したことない学問だから、挑戦してみる価値はあるよ｣

川｢僕がいなければ、阿部先生と佐久間は公に出来なくても2人で笑い合って過ごせてたはずです…｣

阿｢またその話？｣

川｢ごめんなさい｣

阿｢俺は如恵留と話したいことがある｣

川｢なんですか？｣

阿｢如恵留、子どもはいらないの？｣

川｢…｣

阿｢跡継ぎって、のえパパが騒ぐのは血が繋がってるからで。如恵留の子ども、俺と佐久間とだと一生無理だよ…｣

川｢僕は親になる自信はありません…｣

阿｢俺もないな…｣

川｢猫が僕たちの子どもですから｣

阿｢如恵留が納得してるなら良いよ｣

川｢僕は佐久間と阿部先生、2人と結婚して幸せなんです。こんな僕を愛してくれる、2人がいないと僕は生きる意味を見失います｣

阿｢うん｣

川｢重いですね…｣

阿｢それはいつものこと｣

川｢はい｣

阿｢種の保存のためだけに、俺たちは生きてないよね｣

川｢もちろんです｣

阿｢せめて、俺が女だったらな…｣

川｢佐久間と僕とで取り合って血を見ますよ｣

阿｢俺、男で良かったよ…｣

川｢はい｣

阿｢如恵留がいなければなんて思ったことは1度もないし、今後もない｣

川｢ありがとう。おやすみなさい｣

阿｢うん。おやすみ｣



俺が女だったら血を見るか。

男で平和な世界線で良かったな。

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