桃色の指先と翡翠の憂鬱 53

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川｢ゲームは良いのですか？｣

阿｢ふっかいるし、人集め得意だからね｣

川｢佐久間は阿部先生とゲームをしたいのでは？｣

阿｢あいつは人数多い方が好きだし、ゲームしてる俺より教師の俺の方が好きだから｣

川｢惚気ですか？｣

阿｢かな｣

川｢阿部先生、僕の演技見てくれます？｣

阿｢俺が？｣

川｢監督という立場で、僕にダメ出しをしてくれる人がいないんで｣

阿｢わかった｣




リビングの開けたスペースに川島先生が立って、俺はダイニングの椅子を動かして座った。

上を向き目を閉じてから、川島先生の表情が変わった。



川｢お前は、猫を辞めて、人間になるのか。人間は簡単に俺たちを捨てる。雨に震え、寒さで死にそうな時でも、あいつらは俺たちを見向きもしない。この世で1番愚かなのは人間だ｣

川｢あいつらは、何も分かっちゃいない。可愛いだけで、気まぐれに俺たちをおもちゃにする。俺たちにも同じ命があって、同じ心があるというのに…｣

川島先生が胸を叩いて、苦しそうな顔をする。

阿｢でも、僕はあの人の元に行きたいんだ！｣

佐久間のセリフは俺も覚えてる。



川｢わかった。ならば、十字架を背負っていくんだな。もう戻れないぞ｣

阿｢十字架？僕は何かを失うの？｣

川｢怖いならやめておけ｣

阿｢いやだ。何があっても乗り越えてみせる｣

川｢…｣

阿｢僕、あの人の笑顔がみたい。あの人が僕のこと猫じゃなくても好きだって思ってくれるように僕…頑張るから｣

川｢行け｣

川島先生が背中を向けて、頭を下げた。


振り返った川島先生はいつもの優しい顔に戻ってた。


川｢どうですか？｣

阿｢鬼気迫るものがあったよ｣

川｢阿部先生の佐久間の役も可愛いですね｣

阿｢ありがとう。佐久間が僕って言うの可愛いよね｣

川｢普段と真逆です｣

阿｢ね。如恵留の僕と佐久間の僕はまた違う｣

川｢負けてますね｣

阿｢ううん。佐久間の僕は少年さがあるし、如恵留の僕は丁寧な感じだもん｣

川｢どうも。僕は社長に切り替わります｣

阿｢のえパパの課題？｣

川｢はい。阿部先生は上に戻ってください｣

阿｢邪魔してごめんね。って、何話してたっけ｣

川｢佐久間が可愛いって結論です｣

阿｢如恵留も可愛いけどね｣

川｢斗真がゲストルームにいるので呼んでください｣

阿｢了解｣



川島先生に追い出されてしまったな。

上の階への階段を登っていると、斗真さんが上から降りて来た。

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