桃色の指先と翡翠の憂鬱 53

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照｢俺は法の番人だから｣

深｢ひかる、これは違うっ｣

照｢あー、ゲームやろうと思ったのに気が削がれた…｣

佐｢ひかる、チョコアイス食べる？｣

深｢放っておけよ。ひかるが拗ねるのは毎度のこと｣

照｢は？｣

佐｢夫婦喧嘩しないでよ｣


どっちも正しいんだよな。

内部告発というか、今回の問題は密告の意味合いが近くて。

人気がある教師だから、嫉妬とか、生徒間のトラブルの方を考えないといけないのに、俺は佐久間のことしか頭になかった。


阿｢ふっか、もう1人集めて｣

深｢は？｣

佐｢あべちゃん？｣

阿｢如恵留と話してくる｣

照｢どした？｣

阿｢ふっか、ひーくん、ありがとう。教師10年やってるのに、全然だめだ｣

佐｢いってらっしゃい｣

真｢さっくんいいの？｣

佐｢今ね、あべちゃん先生の顔だから。俺が好きになった時の顔｣

布団から立ち上がって、ビールをひーくんの前に置いた。

阿｢佐久間をよろしく｣

照｢おう｣

ゲームログインしたままだけど、いいや。




下の階のリビングから音が漏れて、ドアを開けると川島先生は音楽を聞きながら上半身裸で床で腕立て伏せ中だった。

阿｢如恵留｣

川｢阿部先生、どうされました？｣

阿｢ふっかとひーくんが喧嘩してさ、俺、大切なこと見落としてた｣

川｢はい？｣

阿｢交際疑惑より、内部告発の方が問題じゃない？｣

川島先生が立ち上がって、タオルで顔の汗を拭いた。



川｢深澤さんと岩本さんの喧嘩の原因ですか？｣

阿｢当たらずとも遠からずかな。ふっかは、生徒側が誰か追いたくないって｣

川｢はい｣

阿｢この情報を私書箱に送ってきた側を問題視してる｣

川｢誰も悪くないですよ｣

阿｢そう？｣

川｢ええ。誰も悪くないです。恋愛はそういうものですから｣

阿｢うん｣

川｢妬み嫉みは誰の心にもあります。僕も改めて投稿を見直したんですが、この女子生徒が内部告発した可能性もあるなと気付きました｣

阿｢どういうこと？｣

川｢付き合っていることを誰かに知ってもらいたかった…付き合っていることが上手くいってないとか、教師の気持ちを試すためとか…｣

阿｢あるかも｣

川｢佐久間と阿部先生だって隠していることが辛くて、僕にだけは惚気てましたよ｣

阿｢如恵留とも結婚するとはね｣



川島先生が目を細めてはにかんだ。

3人での結婚は想定外だったけど、川島先生の嬉しそうな顔は結婚して良かった、この人を1人にしてはいけないって。

あの時の気持ちを思い出した…。

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