桃色の指先と翡翠の憂鬱 48

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頼んだ料理が届いて、のえパパと冷也が手を組んでお祈りを捧げた。


川｢いただきます｣

阿｢如恵留はしないの？｣

川｢お祈りですか？いただきますで省略してます｣

川父｢これもTPOだな。今は冷也がいるから｣

パ｢俺はいただきますを師匠から教わったから｣

佐｢難しい…｣

川父｢感謝して食べるって、根本的には同じだよ｣

佐｢いただきます｣

冷｢さっくん、卵あげる｣

佐｢冷也、卵嫌い？｣

冷｢俺からの餞別｣

佐｢そんなのいいよ。みんなにも何にもいらないって伝えてるし｣

川父｢2人ともいじらしいな…｣

パ｢いじらしい？｣

川父｢そう。lovable｣

パ｢I see.｣

佐｢じゃぁ、冷也は餃子いっぱい食べて｣

冷｢ありがとう｣


川島先生と俺は、後ろの4人の会話を聞きながら、ラーメンを5分で食べ終えた。

教師の悲しいさがだな…。

川｢食べちゃいましたね…｣

阿｢うん…。麺類は秒で食えだよね｣

川｢冷也、さっきの高専の資料、僕にも見せて｣

冷｢うん。これだよ｣




川島先生が封筒から出して見てるのは、授業料の免除制度の資料だ。

阿｢高校と違う？｣

川｢4.5年生の分は成績優秀であること…｣

阿｢高校無償化と同じ扱いだからか｣

川｢そのようですね｣

阿｢その時は俺が出すよ｣

川｢成績優秀なら問題ありませんから｣

阿｢うん。冷也への指導は継続だね｣

川｢はい｣

阿｢無料塾まで留学の範囲を広げたのって…｣

川｢本人の希望次第ですけどね｣



川島先生はラーメンを美味しそうに頬張る冷也を見てる。

冷也がアメリカ留学する気持ちがあるなら、川島先生は彼を選ぶはずだ。

授業料と生活費も全て出してもらって、留学出来る。


18歳になったら施設を出ないといけないけど、それを引き伸ばす意味もあって彼は高専を選んでる。

魔法の国の子にとって、彼は希望になれる。



川島先生も目線の先はずっと先なんだ。

俺だけだ、目の前の佐久間がいなくなることばかり考えて、長期的な視点を持ててないのは…。



佐｢あべちゃん、食べ終わったの？｣

阿｢うん。ゆっくり食べてていいよ。俺と川島先生は先に出るね｣

川｢その辺をふらふらしてますね｣

川父｢俺を待たせるなよ｣

川｢はい｣

阿｢ごちそうさまでした｣

川｢美味しかったです。失礼します｣



日本文化に興味があるパトリックが好きそうなお店が並んでる。

川島先生は文房具店に入って行って、後を追いかけた。

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