桃色の指先と翡翠の憂鬱 48

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生徒が座り終わってから、1年の担任団の席に座った。

俺の真後ろには川島先生が座ってる。

入学許可のところで、立ち上がった。

阿｢1年A組｣

生徒1人1人の名前を読み上げる。

F組まで進んで、学校長の式辞。




次は来賓の祝辞。

立ち上がったのはのえパパ…。


来賓の祝辞は別の人の予定なのに、また勝手なことを。



昨日、挨拶が下手だって大将に言われてたのに、何を話すんだろう。


季節の挨拶と、新入生と保護者へ入学おめでとうと伝えた後、のえパパの話が始まった。




川父｢学校は何をする場なのか、新入生に今一度考えてもらいたい。勉強する場、社会性を身につける場、はたまた仲間と楽しく過ごす場であり、スポーツなどの部活動に打ち込む場でもあります｣



川父｢私はみなさんにこれから高校、大学、社会で身に付けて欲しいことがあります｣


川父｢それは教養です｣

川父｢教養は何かと問われてすぐに的確な答えを出せる人は多くはないでしょう。かくいう私も一言で説明しろと言われて即答は出来ません｣


川父｢教養とは、何か。知識の詰め込みではありません。それはただの物知りです。教養とは知識を駆使し他者を理解する力、そして、問題が起きた時に対応できる力だと私は考えています｣



川父｢簡単に言うと生きる力です。私はアメリカで生活してますので、様々な宗教や人種の人と暮らし、仕事をしています。意見が真っ向から対立することも、しょっちゅうです｣



川父｢ただ、教養のある人は、意見がぶつかったとしても、他者の意見を聞き入れ、否定することはありません。相手を思いやる想像力があるからです。そして、自分の意見をしっかり相手に伝えることが出来ます｣



川父｢では、教養のない人はどういった人でしょうか。差別する人は総じて教養がありません。また誹謗中傷する人もまたしかりです。想像力の欠如は、自分がいかに小さい人間か、周囲に知らせているようなものです｣



川父｢私が信念にしていることがあります。合わないと思った人とこそ、意見を交わしてください。合わない人は、貴方にない才能を持った人です。仲良しだけで、世界は成り立っていません｣


川父｢これからみなさんが学ぶ時に教養とは何か？と常に問い続けてください。みなさんが、世界で活躍出来る日を楽しみに待っています｣




のえパパの祝辞は大学の入学式で話すレベルのことだ。

それを原稿もなくすらすらと話した。

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