桃色の指先と翡翠の憂鬱 44

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次の運転は川島先生だ。

みんなが後ろに乗って、助手席に座った。



佐｢お土産と、あとなんか買いたい｣

真｢なんかって？｣

佐｢旅の思い出？｣

川｢鳥羽に行くか、伊勢神宮の方に戻るかどうしますか？｣

深｢昨日もう少しゆっくり見たかったよな｣

照｢おかげ横丁行きたい｣

川｢承知しました｣

阿｢学校に日持ちするお菓子をお土産に買うよ｣

佐｢あべちゃんが、のえちゃん化してる｣

真｢俺も実家に買う｣

照｢ふっかもお母さんに買ったら？｣

深｢そうだな｣

川｢横丁サイダーも買いましょう｣

佐｢いいね、あれ毎日飲みたい｣

阿｢如恵留、佐久間の今のは例えだからね｣

川｢はい｣

こう言わないと、川島先生は冷蔵庫に常備しちゃう。



うなぎ丼でお腹いっぱいになったみんながうとうとしてる。

佐久間も3列目で目をしょぼしょぼさせてる。

山道の揺れも眠りを誘うし、俺も眠い…。



川｢阿部先生、寝てもいいですよ｣

阿｢大丈夫。如恵留、学校に来て進路相談の対応をお願いしたい子がいるんだけど｣

川｢来週、時間作りますよ｣

阿｢ありがとう｣

川｢どんな相談なんですか？｣

阿｢如恵留の大学を希望してる｣

川｢わかりました｣

阿｢あとね、1年生なんだけど、目安箱で相談来てて、これは如恵留に返信してほしい｣

川｢はい｣

阿｢それと、ジェンダーレス教育の講師として3年の担任が呼びたいって｣

川｢阿部先生、旅行中くらい先生をお休みしてください｣

阿｢ごめん｣




川｢阿部先生が好きな動物が鳥なのは、自由になりたいって深層心理ですか？｣

阿｢え…｣

川｢僕は阿部先生をカゴの中に押し込めているのは承知してます｣

佐｢のえちゃん｣

阿｢ごめん。佐久間起こしちゃった？｣

佐｢んーん。寝てない｣

川｢佐久間なに？｣

佐｢あべちゃんはのえちゃんがいるから、安心してる。逆だよ｣

阿｢うん。俺は如恵留がいないと不安で仕方ないよ。だから、早く学校に戻って欲しいし、そばにいて欲しい｣

川｢はい｣

佐｢のえちゃん、非常勤講師で戻ったら？｣

川｢そうだね。時間に余裕出来るし｣

阿｢授業は減るけど、雑務も減るし良いかもね｣

川｢阿部先生、ダンス部の顧問を続けてくれますか？｣

阿｢いいよ｣

川｢ありがとう｣


非常勤講師は顧問になれない慣例があるから。

川島先生だったら、慣例を破ってくれそうだけど。

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