6滴目 ページ7
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『牧野さん、あの、わ、たし、そういうのはしないって……』
「Aちゃん。僕たちそろそろさ、次に進んでもいいんじゃないかなって思うんだよね」
私の少し先を歩いていたおじさんが、笑顔を浮かべながらこちらを振り向いた。その顔は今まで見た気持ち悪い顔の中でもトラウマレベルで気持ち悪いものだった。
『は、いや、だから、』
「大丈夫!お金ならいっぱい出せるよ。欲しいものもなんでも買ってあげる!」
おじさんは最近大きな投資先がひとつ潰れちゃってさあ……とどうでもいいことを呟いた。じろじろと私を見てくる目は相変わらず反吐が出るほど気持ち悪い。
心臓がうるさい。涙が溢れそうになる。違う、私はこんなことしたいわけじゃ……!
逃げなきゃ、このままじゃ本当に後戻りが出来なくなると頭では分かっているのに、足が震えて動けない。
もう嫌だ、だれか助けて……
「ちょっと、嫌がってるじゃないですか」
突然そんな声が聞こえて、私を掴んでいた手が離された。私は驚きと安心で思わずその場にしゃがみこんでしまう。
私とおじさんの間に割って入ってきた人はそんな私に驚いて大丈夫?と背中をさすってくれる。
なんで、一体誰が……?
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作者名:ふわぴ | 作者ホームページ:http://urana
作成日時:2021年1月30日 17時