検索窓
今日:3 hit、昨日:8 hit、合計:64,344 hit

38滴目 ページ39

**

『いやあのっ、これは違くてですね』
「もう、好きって言ったり好きな人はいないって言ったりでどれがほんとか分かんないなぁ」

『あれはきんときくんにあいつのことほんとは好きじゃないよって伝えるためだよ!』
「やっぱりね。……もうちょっと早く行動すべきだったなぁ」


彼は少し険しそうな顔をすると何かを呟いた。

やっぱりってことは、あの言葉の意味ちゃんと伝わったのかな。それならいいんだけど……

もし誤解して伝わってたら突然きんときくんのこと拒否したみたいになっちゃって嫌だったけど、あの時の私は余裕がなかったからああするしかなかったのだ。



「まあ、それはいいとして……今言った好きっていうのは?」
『へっ!?いやだから、それは、』

いや、こんな状況で告白なんてできないけど、でもこれはそういう流れなの……!?
どうしたらいいか分からなくてもごもごしていると、彼はあははっと笑って私の手を握ってきた。

「ごめん、反応がかわいかったからいじわるしちゃった」

いつもの爽やかな笑顔に少しだけいたずらっ子みたいな表情をプラスさせた彼はそのまま私をの手を引き歩き出した。


正直、私がきんときくんのこと好きになったら迷惑かな?とちょっとだけ不安が過ぎってしまう。

私って後ろめたいことの多すぎる人間だし……全部きんときくんにはバレてるけど。
そんな不安からか私は無意識に彼の手にぎゅっと力を込めていた。


「……いまここで俺が変に返事しちゃったら弱みにつけ込んでるみたいで嫌だから、正式な返事はまた今度、ね?」
『それ、って』


もう返事してるようなもんじゃん……!

私は顔が赤くなるのを感じたが、きんときくんは相変わらず楽しそうに笑っていた。

私がきんときくんのことを振り回してると思ってたけど、もしかしたら振り回されてたのは私のほうだったのかな、なんて。

39滴目→←37滴目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (54 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
162人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ふわぴ | 作者ホームページ:http://urana  
作成日時:2021年1月30日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。