37滴目 ページ38
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『私、これからどうしよう』
「うーん、そうだね……今日はおうちに帰りたくはないでしょ?」
私は無言でこくっと頷いた。
そういえば、しゃけくんはどうやら既に帰っていたらしい。
きんときくんに聞いたらAさんが泣いちゃった辺りから追い返しといたよ、と笑顔で言われてしまった。
……今度ちゃんとお礼しなきゃな。
そんなことを考えていると彼はよし!と言って手を握ってきた。
「じゃあ俺の家に泊まろう!……あ、変な意味じゃないからね!?」
うち姉さんもいるし、全然そういう意味じゃないから!と慌てるきんときくんを見ていると、自然と笑顔になってしまう。
『あははっ、そんなこと言わなくてもきんときくんはそんなことしないって分かってるよ』
「そう?それだけ信頼してくれてるなら俺も嬉しいけど」
勝手に騒いじゃって恥ずかしいなぁ、と彼は眉を下げながら笑っていた。
『……好きだなぁ』
「え?」
『ん?』
…………あれ、私今なんて言った?
ふいに口から出てしまった言葉に混乱し思わず立ち止まってしまうと、きんときくんは驚いたような顔をしてこちらを見つめていた。
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作者名:ふわぴ | 作者ホームページ:http://urana
作成日時:2021年1月30日 17時