青に溶かされて、 (ページ15)

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14滴目ページ15

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『えっ、嘘じゃん』
「もーそんな顔しないでよ。これからよろしくねAさん！」

机をガタガタと動かして移動した先には、何故かきんときくんがいた。

うちのクラスでは毎月席替えが行われる。くじ引きで決まるし、人数も40人ほどいるクラスだから隣になる確率なんて低いはずなのにどうして……

『あはは、はぁ……よろしくお願いします』

なんできんときくんが隣の席になったのだろうか。いくら彼が優しいからといっても、昨日の出来事を思い出すと正直穏やかな気分ではないのに。

しかし当の本人は昨日のことをそれほど気にしていないのか、机に肘をついてニコニコしながら私の方を見えてくる。

「ふふ、俺としてはAさんのこと監視できるから助かるけど」
『監視って……きんときくんって案外やばい人だったりする？』
「Aさんだって学校では明るいのに普段は結構大人しいじゃん」
『うっ……まあ、確かにそうだけど……』

きんときくんに指摘された通り、学校では人と接するときになんとなく明るくしていたけど、昨日会ったせいで素の自分もバレてしまった。

『まったく、きんときくんには叶わないなあ』
「ただ心配なだけだよ。Aさんまだ表情固いし」
「きんときー、次移動教室だぞ」
「あ、そうだった……」

きんときくんとのお喋りに気をとられていたせいで、いつの間にかみんなが移動していることに気づかず教室にはあまり人がいなかった。

「ほら、Aさんも早く！」
『えっ、ちょ、ちょっとまってよ！』

彼は口では急かしながらも、バタバタと準備をする私を隣で待ってくれていた。

「あれ？Aさんときんときってそんな仲良かったっけ？」
「ああ、さっき共通の趣味があるって知って盛り上がっちゃったんだよね」

てか名前で呼び合う仲だったか？と頭にハテナを浮かべるなかむくんの隣できんときくんはねっ、と目配せしてきたので私は勢いよく首を縦に振った。

なんだかこれから気が抜けない生活が始まる予感がしてきた。大丈夫かなあ……おじさんに気を使うより大変かもしれない。