+ ページ47
**
『噂には聞いてたけどぶるーくってほんとにファンサすごいよね！私の隣の子最後泣き崩れてたよ？』
「俺のファンだって泣き崩れてたろ」
てかそんな話ここですんなよ、と迷惑そうな顔をした彼が私のコーヒーを勝手に飲みだす。
半分ほど残っていたコーヒーはじゅっと音を立てて飲み干されてしまった。
『ちょっと！それ私のなんだけど』
「家に帰ってからでも飲めるだろ」
早く帰るぞ、と言い彼が席を立ったのに合わせて私もその場をあとにした。
アイドルしてるときのしゃけもかっこよかったけど今のしゃけもかっこいいよ、なんて言ったら一生ライブ来るななんて言われちゃいそうだなぁ。
『みてー！ぶるーくともチェキ撮ったの！』
「へー、よかったねー」
ライブ後のエゴサをしているのか、スマホに目をやったまま彼は適当にそう答える。
チェキ会のときも雑だったのに帰ってきても雑とは……まあ、照れ隠しということにしておいてあげよう。
『それにしてもこのぶるーくほんとに距離近いな……』
どこぞのシャークんさんとは違って、と付け足すとようやくむっとした顔をした彼がこちらを向いた。
「んだよそれ。他のファンにもっとベタベタしてほしいってか？」
『それはやだ！もうライブ行かなくなっちゃうよ？』
「来ないで結構。恥ずかしいから来んなつったのに……」
ぶるーくのヤツめ、と言いながら彼はスマホを置いた。
「……んで？適当なことすると推し変するんだっけ？」
『へっ？や、それは冗談だって、わっ！』
突然視界がぐらっと傾き、あの整った顔が私の顔から数センチのところまで近づいてきていた。
「へー、冗談？俺のチェキは1枚だけだったのにぶるーくとは3枚も撮るんだ？」
次会ったら許さねえつったろ、と耳元で囁かれて思わず身体がビクッと反応してしまう。
それを見てご満悦の表情を浮かべたシャークんは、そのまま私にちゅっと短いキスを落とす。
「ライブ終わりって結構熱が冷めないままなんだよな。……ちょっと、熱冷ましに付き合ってもらうから」
ニヤ、と笑う彼はきっとステージの上なんかじゃ見れないほど妖しくて。
推し変なんて一生出来ないんだろうな、と思いながらそのまま私は彼に全てを委ねることにした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 300人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふわぴ(プロフ) - ぱふぇ。ライム。推し悪。(省略)さん» アイドルパロは自分でもちょっといい感じに書けたかなと思ってたので喜んで貰えて嬉しいです…！続編も読んでくださるんですね！ありがとうございます！ (2021年5月28日 10時) (
レス) id: a7c055b2fc (このIDを非表示/違反報告)
ぱふぇ。ライム。推し悪。(省略) - 推し変禁止もアリっすね……うわ、本当にどれも好きっす……これから続編に向かうっす！(深夜テンションなだけなので気にしなくていいっすよ！) (2021年5月26日 3時) (レス) id: 01ab6b60a3 (このIDを非表示/違反報告)
ぱふぇ。ライム。推し悪。(省略) - うわぁ……全話好きです………でも特に好きなのやっぱknさんのアイドルっていうのが凄く好きです……それできゅんきゅんするような台詞は本当に……だめですって………… (2021年5月26日 2時) (レス) id: 01ab6b60a3 (このIDを非表示/違反報告)
ふわぴ(プロフ) - なのもちさん» ひえええありがとうございます！！もらって嬉しい言葉のオンパレードですありがとうございます………！！続編も頑張ります！ (2021年5月13日 11時) (レス) id: a7c055b2fc (このIDを非表示/違反報告)
なのもち(プロフ) - 今日、見かけて今日、好きになりました。もう、語彙力がとけるくらい良い作品で、正直なんで今まで見てこなかったんだろうって感じです。これからも頑張ってください！続編も楽しみです！ (2021年5月12日 21時) (レス) id: b3104d6996 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふわぴ
| 作者ホームページ：http://urana
作成日時：2021年1月17日 22時
