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「約束するから……最後にひとつ、我儘を言ってもいいか？」
『はい、なんでも聞きますよ』
「ありがとう。ならしばらく目を閉じててほしい」
『お易い御用です！』
得意げにぱちっと目を閉じたA。
薄く色付いた頬をするりと撫でれば、くすぐったそうに眉をひそめた。
本当に綺麗、としか言いようがないな。
『もう、まだですか？』
「ごめんごめん、あともう少し」
俺が大きくなったらこんな風には触れられない。もしかしたら彼女に怖がられてしまうかもしれない。
それでもいいから、この瞬間だけでもお前のことを独り占めしたい。
「もう開けていいぞ」
『へ？なんだったんです、か………』
長い睫毛が上がると同時に、俺は彼女にそっとくちづけを落とした。
……あぁ、1回で終わらせようと思ってたのに。
柔らかくて、どこか甘い味のする彼女の唇に一度噛み付いたら離れることなんてできるわけなかった。
『ん、っ…！？す、まいるさっ……』
「あと少しだけ……」
何度も何度も、角度を変えては彼女のことを味わった。
Aにも今の俺のことを忘れてほしくなくて、この感触を覚えていてほしくて。
拒絶しない彼女の手が、まだ自分を抱きしめていることが嬉しくて。
「ふ、は…っ、ごめん、長すぎた……」
『も、もうっ！長さの問題じゃないですよぉ！不意打ちなんでずるいですっ』
顔を真っ赤にしながら口元を抑える彼女は何ともかわいらしかった。
本当はもっと意地悪をしたいけれど、もうそろそろ時間だ。
「今までありがとう、A。誰かにこんなにも惚れ込んだのは初めてだったよ」
『むう……これで逃げるなんて本当にずるいです。私だっていつか人間みたいにおっきくなってスマイルさんに会いに行きますから！』
「ふふ、楽しみにしてるよ」
最後まで名残惜しそうに握っていた手をするりと解いて、俺は薬の元へと足早に向かった。
きっと速度を落としたらもう人間には戻れないだろうから。
元に戻ったら早速妖精の生態と……あと、種族を超えた愛情の可能性についてか。
調べることが山積みだななんて1人で笑いながら、花のような香りのする薬を一気に飲み干した。
『……あなたがどんなに大きくなろうと、人間だろうと、私はずっとあなたの事を想っています、スマイルさん』
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ふわぴ(プロフ) - ビー玉さん» ありがとうございます…！嬉しいお言葉ばかりでものすごくモチベに繋がりました。これからも丁寧な表現と読んでいて楽しいお話が書けるよう頑張ります！ (5月25日 13時) (
レス) id: 159c9c50ae (このIDを非表示/違反報告)
ビー玉(プロフ) - めっちゃ好きです！個人的に特に好きなお話は傷ごと愛してです。特に最後のページでまるでその世界を眺めているような柔らかな感じが顕著に感じられて思わず涙が出でしまいました。いつも美しい作品ありがとうございます。これからも応援してます！ (5月22日 1時) (レス) @page20 id: 7a07f59bfb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふわぴ
| 作者ホームページ：http://urana
作成日時：2022年8月1日 14時
