+ ページ43
**
にしてもほんと、全然笑わないくせにかっこよすぎるのずるいなぁ。
そんなことを考えながらスマイルの顔をじいっと見つめていると、見られるのが嫌だったのか彼の大きな手が私の目の上に乗って視界が真っ暗になる。
『ね〜！なんも見えないんですけど』
「人の顔ジロジロ見てるお前が悪い」
私の目が見えなくなったのをいいことに、スマイルは仕返しするように頬をむにむにといじってきた。
それがなんとなく恥ずかしくてやめてと彼の手を捕まえようとしても、視界を奪われているせいでその手は空を掴んだ。
「……別にAがどんなにかわいくなろうが誰かに取られるとかそういう心配はしてないけどさ、かわいくなったお前が他人にずっと見られんのは嫌かも」
『は、ぇ……？スマイル？』
小さくて早口だから聞き逃しそうになったけど、確かに聞こえたセリフに思わず顔が熱くなる。
未だにスマイルの手が目の上にあるせいで彼がどんな顔であんなことを言ったのか見ることが出来ないのがもどかしい。
『ねえもう、スマイルの方が私のことジロジロ見てるじゃん』
「いいだろ別に。かわいいAのことこんなに観察できるのは俺だけなんだから」
『なっ……！』
今度は顔を見なくても分かる。
今のスマイルは絶対、これが欲しかったんだろ？って顔してる。
でも、それが分かっててもやたら心臓がドキドキしちゃうのがどうしても悔しかった。
『そういうことするスマイルずるいから嫌い……』
「嫌い？」
『き、嫌いだもん』
「………ほんとに？」
『っ、あーもう！好きだよばか！』
無理やりぐいっと彼の手を押しのけて起き上がれば、やっぱりしてやったりな顔をするスマイルがそこにはいた。
『女の子の気持ち弄ぶなんてさいてー！』
「弄んでなんかないだろ。嘘なんかひとつも言ってませんけど？」
『う…ほんとにもうやめてください……』
「俺に勝つなんてまだ早いんだよ」
よしよしと今度は子供をあやすみたいに頭を撫でるスマイル。
その余裕そうな顔を崩すには一体どうしたらいいんだろう。またほっぺたぎゅってするのじゃつまんないし……
「ほんとにかわいいと思って、」
『ん！』
さらに追加で爆弾を投下しようとするスマイルの肩を掴んで引き寄せて、目を閉じたまま彼の唇にちゅっとキスをお見舞いする。
私だってずっと負けっぱなしじゃやだもん。
……次に目を開けたら、今度こそ見たかった顔が見れるかな？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 479人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふわぴ(プロフ) - ビー玉さん» ありがとうございます…！嬉しいお言葉ばかりでものすごくモチベに繋がりました。これからも丁寧な表現と読んでいて楽しいお話が書けるよう頑張ります！ (5月25日 13時) (
レス) id: 159c9c50ae (このIDを非表示/違反報告)
ビー玉(プロフ) - めっちゃ好きです！個人的に特に好きなお話は傷ごと愛してです。特に最後のページでまるでその世界を眺めているような柔らかな感じが顕著に感じられて思わず涙が出でしまいました。いつも美しい作品ありがとうございます。これからも応援してます！ (5月22日 1時) (レス) @page20 id: 7a07f59bfb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふわぴ
| 作者ホームページ：http://urana
作成日時：2022年8月1日 14時
