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『ねえすまいる、なんで私の目から水が出てくるの？』
「……あーもう、分かったよ！ここにいていいから」
『え？』
「だから、俺が面倒見てやるって言ってんだよ」
突然そんなことを言い出した彼は、人は辛いときには涙が出るようになってるんだと教えてくれた。
そうなんだ。猫の身体の時は知らなかったけど、人間ってそんなことができるんだ。
……確かに言われてみれば、私を捨てたあの子もあのとき涙を流していたような気がする。
「そんなに辛いならここにいればいい。ただ余計なことはしないように。例えばその姿のまま人間に近づいたり＿＿」
『ほんとにいいの！？スマイルありがとうっ！』
「うおっ！？おい、いきなり飛びつくな！」
ぎゅっとスマイルに抱きついてスリスリと頬を擦りつければはぁ〜、と盛大なため息をつかれてしまった。
それでも居場所ができて嬉しかった私は勢い余って彼の膝の上にごろんと寝転んだ。
「お、まえ……はぁ、人間が無責任に飼いたがる理由が分かったよ」
『うん？』
「まあ一度決めたからには責任持って面倒は見るから。お前は安心して過ごせばいい」
ずっと固かった表情をほんの少しだけ和らげたスマイルは、ゴロゴロと喉を鳴らす私のほっぺたを優しく撫でてくれた。その手つきは今までの人間達とは違ってすごく温かくて、不思議と私の心を安心させてくれる。
みんないつも雑に撫でてくるから正直嫌だったんだけど、なんだかスマイルの手だけは特別な感じがして気に入ってしまった。
『えへへ、じゃあスマイルのしっぽの上で寝てもいい？』
「それはダメだ」
『なんで！ふかふかの上で寝たいの！』
「はぁ……これは徹底的に躾直さないといけないな」
どこか遠い目をしながら頭を抱える彼の手にじゃれつけば、ハイハイと言いながらもまた頭を撫でてくれた。
『これからよろしくね、スマイル』
「少しは手のかからない猫になるといいんだけどな」
こうして、妖狐のスマイルと化け猫になった私の生活が始まりを告げたのだった。
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ふわぴ(プロフ) - ビー玉さん» ありがとうございます…！嬉しいお言葉ばかりでものすごくモチベに繋がりました。これからも丁寧な表現と読んでいて楽しいお話が書けるよう頑張ります！ (5月25日 13時) (
レス) id: 159c9c50ae (このIDを非表示/違反報告)
ビー玉(プロフ) - めっちゃ好きです！個人的に特に好きなお話は傷ごと愛してです。特に最後のページでまるでその世界を眺めているような柔らかな感じが顕著に感じられて思わず涙が出でしまいました。いつも美しい作品ありがとうございます。これからも応援してます！ (5月22日 1時) (レス) @page20 id: 7a07f59bfb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふわぴ
| 作者ホームページ：http://urana
作成日時：2022年8月1日 14時
