妖妖育成/sm ページ24
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＿＿＿Aちゃんごめんね、もううちでは飼えないの。
『かえないって、なに？』
そう口を開いても彼女はくしゃりと顔を歪めるだけ。ダンボール箱に入れられた私は、見た事のない場所に下ろされてしまった。
あの子は何度もごめんね、ごめんねと繰り返し呟いて、私を一撫でしたかと思えば走ってその場から去ってしまった。
何が起こったのかよく分からなくて、きっとすぐ迎えに来てくれると思ってその場で待ち続けた。
……でもそれはもう数日前の話。
『お腹空いたなあ』
疲れが溜まって棒のように感覚の無くなった足でただひたすら歩き続ける。
私はただごはんが欲しいだけなのに、路地裏に置いてあったお皿のカリカリを食べようとすればその縄張りにいた猫たちにいじめられるし、そこら辺のゴミ箱から食べ物を漁るなんてことしたくなかったし。
行くあてもないままとぼとぼと進み続けていると、やがて雨まで降り始めてきてしまった。
どうしよう、このまま身体が濡れて冷えてしまったらもう耐えられる気がしない。
ほんの少しだけ残っていた力を振り絞って道路の上を走っていると、赤くて大きな2本の柱が目に入った。
そこは普通の家やお店とは少し違う、どこか厳かな雰囲気を放っていた。
『どこだろうここ……あ、あそこなら！』
柱のずっと奥にはよく分からない箱と、その後ろに大きな建物があった。
どうやら他の猫の縄張りでもなさそうなので、私はとりあえず建物の下へと向かうことにした。
『うーん……居心地は悪いけど雨が止むまでいようかな』
冷たい石の階段の上に登って私はぎゅっと縮こまった。雨や風は凌ぐことができるのでしばらくは落ち着いて過ごせそうだった。
でもぐぅと鳴るお腹の音だけは止まなくて。
「あ、ねこちゃんだ！」
『ねえ何か持ってない？お腹が空いてるの』
「にゃんにゃん言ってる！かわいい〜！」
たまに建物へやってきては箱の中に何かを投げ入れる人間達。
そんな彼らに必死で空腹を訴えても伝わっていないのか、みんな私の頭を撫でて満足気に帰っていくだけだった。
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ふわぴ(プロフ) - ビー玉さん» ありがとうございます…！嬉しいお言葉ばかりでものすごくモチベに繋がりました。これからも丁寧な表現と読んでいて楽しいお話が書けるよう頑張ります！ (5月25日 13時) (
レス) id: 159c9c50ae (このIDを非表示/違反報告)
ビー玉(プロフ) - めっちゃ好きです！個人的に特に好きなお話は傷ごと愛してです。特に最後のページでまるでその世界を眺めているような柔らかな感じが顕著に感じられて思わず涙が出でしまいました。いつも美しい作品ありがとうございます。これからも応援してます！ (5月22日 1時) (レス) @page20 id: 7a07f59bfb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふわぴ
| 作者ホームページ：http://urana
作成日時：2022年8月1日 14時
