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『すまいる……ごめんなさい。旅行台無しにしちゃって』
「まだそのこと言ってんの？いつもならもっとわがままばっか言うのに急にしおらしくなったな」
人がせっかく申し訳なく思ってるのにとスマイルを睨むと、彼は冗談だよと笑いながら私をベッドに寝かせた。
「旅行なんかいつでも行けるし。でもお前のことを看病できるのは俺しかいないだろ？」
『……うん』
「それに俺もお前の体調が悪いことに気づけなかったの、申し訳ないと思ってる」
ごめん、だなんて珍しく素直に謝るスマイルを見ていると胸がきゅっと締め付けられた。
スマイルは悪くないのに、無理やり隠そうとした私が悪いのに。
なんだか涙が溢れてきそうになった私を、スマイルはぎゅっと抱きしめてくれた。
『す、すまいる……！風邪が感染っちゃう』
「ちょっとくらい大丈夫だよ。1人にしてごめんな、A」
スマイルの低い声が耳元で聴こえる。
スマイルのあたたかい体温が伝わってくる。
それだけで元気になれちゃうくらい、私の心はもういっぱいだった。
『……じゃああとちょっとだけわがまま言ってもいい？』
「いいよ、いくらでもどうぞ」
またベッドの隣に置いた椅子に座った彼の手をそっと握りながら私は口を開いた。
『私が元気になったら一緒に旅行に行きたいな』
「ふっ、いいなそれ。じゃあ早く風邪治さないとな」
避暑地もいいし、温泉でも悪くないなとたくさんの行き先を提案してくれるスマイル。
そんな彼の心地良い声を聞いていると、段々睡魔に襲われ始めて瞼が重くなるのを感じた。
「眠いなら寝てもいいぞ」
『ぅん……でも、寝たらすまいるが…』
「俺はずっとここにいるから。だから安心して休みな」
私を安心させるかのように絡められた指は、まるで離さないといわんばかりにぎゅっと握られてしまった。
ふふっ、これじゃスマイルから離れる方が難しくなっちゃうね。
『おやすみ、すまいる……だいすき』
「あぁ、俺も好きだよ。だから早く元気になってくれ」
こうして穏やかな寝息が立ち始めた暗い部屋に、リップ音がひとつだけ響いたのだった。
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ふわぴ(プロフ) - ビー玉さん» ありがとうございます…！嬉しいお言葉ばかりでものすごくモチベに繋がりました。これからも丁寧な表現と読んでいて楽しいお話が書けるよう頑張ります！ (5月25日 13時) (
レス) id: 159c9c50ae (このIDを非表示/違反報告)
ビー玉(プロフ) - めっちゃ好きです！個人的に特に好きなお話は傷ごと愛してです。特に最後のページでまるでその世界を眺めているような柔らかな感じが顕著に感じられて思わず涙が出でしまいました。いつも美しい作品ありがとうございます。これからも応援してます！ (5月22日 1時) (レス) @page20 id: 7a07f59bfb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふわぴ
| 作者ホームページ：http://urana
作成日時：2022年8月1日 14時
