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『でも、すまいる』
「なんだ？なにか必要なものでもあるのか？」
『……すまいるに、はやく会いたいよ………』
ひとりが辛いの、と呟いた彼女の声はくぐもっていた。
「ごめんA。すぐに帰るから。……A？」
彼女は疲れてしまったのか、どうやらそのまま寝落ちしてしまったみたいだ。
気絶でもしたんじゃないかと焦ったが、画面の向こうからすうすうと寝息が聞こえてきた。
「スマイル〜、電話の方はどう、」
「すまんぶるーく、ちょっと車出してくれないか」
「へ？車？？」
きょとんとするぶるーくに今起きたことを説明するともっと早く言ってよ！と急かされてしまった。
「もー旅行なんて来てる場合じゃないじゃん！」
「……そんなの俺が1番分かってる」
だから一秒でも早く帰って彼女に会わないと。
俺は乱雑に荷物を詰め込んだ鞄を引っ掴んで旅館を後にした。
*
うーん、なんだかお腹すいたな……
それにさっきより息がしやすい。ちょっとは回復したのかな。
それでもまだ少し重い瞼を開けると、なぜかベッドの傍には本を読んでるスマイルがいた。
あはは、会いたすぎて夢まで見ちゃってるのかな。
私がゆっくりと手を伸ばしてスマイルの手に触れると、彼はびっくりしたような顔になった。
「A。目が覚めたのか？」
『うぅん……？夢の中だから覚めてないよぉ』
「何言ってんだ。ここは夢なんかじゃないよ」
少しひんやりとした手で私の手を包んだスマイルはベッドの横に膝をつき、私の顔を覗き込んだ。
『……え？夢、じゃない？』
「そう、現実だ。……お前が風邪で苦しんでるのも、俺が今ここにいるのも全部現実だよ」
ゆっくりと私の頬を撫でながら辛そうな顔をするスマイル。
やめてよ、そんな顔してほしくないから隠してたのに。
『って、そうだすまいる旅行は……っう、げほっげほっ』
「まだ落ち着いてないんだから一気に喋るな。旅行は気にしないでいいよ」
どうせ明日には帰る予定だったんだし、と優しく私を宥めるスマイル。
どうやら気付かぬうちにスマイルにバレてしまったみたいだ。
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ふわぴ(プロフ) - ビー玉さん» ありがとうございます…！嬉しいお言葉ばかりでものすごくモチベに繋がりました。これからも丁寧な表現と読んでいて楽しいお話が書けるよう頑張ります！ (5月25日 13時) (
レス) id: 159c9c50ae (このIDを非表示/違反報告)
ビー玉(プロフ) - めっちゃ好きです！個人的に特に好きなお話は傷ごと愛してです。特に最後のページでまるでその世界を眺めているような柔らかな感じが顕著に感じられて思わず涙が出でしまいました。いつも美しい作品ありがとうございます。これからも応援してます！ (5月22日 1時) (レス) @page20 id: 7a07f59bfb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふわぴ
| 作者ホームページ：http://urana
作成日時：2022年8月1日 14時
