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『ねえきんとき、どうして私の血を吸わないの?』
「……小さい子の血なんて吸っても美味しくないからかな」
『私もう小さくないもん。立派な大人になってきたでしょ?』
「ふふっ、立派な大人なのに吸血鬼に寝かしつけてもらわないと眠れないの?」
『う、うるさいな。だってちっちゃい頃からそうなんだもん』


仕方ないでしょと布団で顔を覆ってるけど、赤く染った頬が隠しきれてなくて思わず笑みが零れてしまった。


『……ね、きんとき』
「ん?」
『私がほんとにちゃんとしたレディになったら、そのときは私のことお嫁さんにしてくれる?』
「さあどうかな。人間の子と結婚するだなんて考えたこともなかったよ」


そんな返事では不満だったのか、彼女はやたらと悲しそうな目をしていた。


そんなに心配しなくても俺が君から離れることなんかないのに。

だって俺は愛情を知らない君にたくさんの愛を注いであげたんだよ?
知らない言葉だってたくさん教えたし、いろんなところに連れて行ってあげた。

きっと君の短い人生の中で誰よりも笑顔を向けられたし、"好き"の言葉ももらった。
そんなかわいい子を手放すなんて、今更できるわけがないでしょ?


「安心してよ。Aのことは俺が責任もって面倒見るってもう決めたんだから」
『それって私が好きだから?』
「そうだよ」
『……その好きって、どういう意味なの』
「それを言ったら面白くないでしょ?でもまあ、ヒントくらいはあげてもいいかな」


ヒントってなに?と目をキラキラさせるA。
相変わらず無邪気なんだから、まったく。いつぶるーく達に取られるか気が気じゃないよ。


彼女の目を静かに手で覆ってから、彼女の白い喉にキスをひとつ。


でもおこちゃまな君にはこの意味はまだ分からないかもね。


「ゆっくりおやすみA。明日もまた元気な笑顔を見せてね」


それだけ残して俺は寝室を後にした。


部屋の中で少女が真っ赤になっていることなど露知らず、ようやく捕まえられたエモノで本当の食事をすることに心を踊らせた俺は彼女には見せられない表情で笑うのだった。



「君が一生笑顔でいられるように、不幸の根源は消し去ってあげるからね」





***
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shkさんとの夏のお話を書き始めました。
そこまで長くはならないのですが、毎日夜に更新予定ですのでよければぜひ読んでみてください💚

熱の冷めない青リンゴ

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ふわぴ(プロフ) - ビー玉さん» ありがとうございます…!嬉しいお言葉ばかりでものすごくモチベに繋がりました。これからも丁寧な表現と読んでいて楽しいお話が書けるよう頑張ります! (5月25日 13時) (レス) id: 159c9c50ae (このIDを非表示/違反報告)
ビー玉(プロフ) - めっちゃ好きです!個人的に特に好きなお話は傷ごと愛してです。特に最後のページでまるでその世界を眺めているような柔らかな感じが顕著に感じられて思わず涙が出でしまいました。いつも美しい作品ありがとうございます。これからも応援してます! (5月22日 1時) (レス) @page20 id: 7a07f59bfb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふわぴ | 作者ホームページ:http://urana  
作成日時:2022年8月1日 14時

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