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『きんときっ、起きて！もう夕方だよ』
「んん……？ふあぁ、おはよ……今日はちゃんと勉強できたの？」
『うん！先生にも褒められちゃった』
見て見て！と彼女が掲げた紙にはいくつかの数式と100点の赤い文字が書かれていた。
偉いじゃんと頭を撫でてやれば、Aは嬉しそうにえへへと微笑んだ。
「ほんと、Aは小さい頃から笑顔が変わらないねぇ」
『むぅ、いつの話してるの』
「ついこの間の話だよ」
『何年も前のことでしょ！』
「君にとっての数年は俺にとっての数日みたいなもんだからね」
伸びをしながらベッドから起き上がれば、Aはまたその話……と少しだけ膨れていた。
あれから少しだけ、いや一応10年以上は経ってるんだっけ？
結局この館に住み着いてしまったAは、吸血鬼である俺の生活に合わせつつも人間らしい暮らしをして過ごしていた。
『ごはんできてるよ！今日はね〜、ぶるーくさんにパンの作り方教えてもらったから焼いてみたの！』
「いつの間に人狼と仲良くなってるんだか」
『いいでしょ別に！お勉強教えてくれる先生だって魔法使いなんだから』
俺が人間の子を受け入れると決まった日から俺の友人たちは興味半分、野次馬半分でしょっちゅう家に押しかけるようになっていた。
それならいっそ俺では補えない部分をあいつらに任せてしまえば良いのではと思いつき、彼女に必要な勉強や生き方を教えてもらうことにしたのだ。
はじめはきりやんにしか声をかけてなかったんだけど、気づけばぶるーくやなかむも勝手にちょっかいをかけるようになっていたらしい。
『どうかな？美味しい……？』
「うん、美味しい。今まで食べたパンの中で一番かも」
『よかった……！おかわりいっぱいあるからね！あっ、必要だったらいつでも血吸っていいからね』
「それは大丈夫だってば。ほら、Aもいっぱい食べな？」
やたらと血を差し出そうとしてくる彼女の口にパンをねじ込めば、口をもぐもぐさせながら大人しくなった。
食べる必要がないと思っていた食事も、こうしてAと一緒に食べていると自然と幸せな気分に早変わりすることが分かった。
はじめは自分でも人間の子と暮らすなんて……と尻込みしていたものの、それだけでも彼女と過ごす生活には意義があるって実感できる。
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ふわぴ(プロフ) - ビー玉さん» ありがとうございます…！嬉しいお言葉ばかりでものすごくモチベに繋がりました。これからも丁寧な表現と読んでいて楽しいお話が書けるよう頑張ります！ (5月25日 13時) (
レス) id: 159c9c50ae (このIDを非表示/違反報告)
ビー玉(プロフ) - めっちゃ好きです！個人的に特に好きなお話は傷ごと愛してです。特に最後のページでまるでその世界を眺めているような柔らかな感じが顕著に感じられて思わず涙が出でしまいました。いつも美しい作品ありがとうございます。これからも応援してます！ (5月22日 1時) (レス) @page20 id: 7a07f59bfb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふわぴ
| 作者ホームページ：http://urana
作成日時：2022年8月1日 14時
