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「ほらAちゃん、そろそろおやすみしなきゃ」
『うう……でもまだおうちぜんぶいってないよ？』
「起きたらまたまわればいいよ。もう眠たいでしょ？」
『うん………』
俺の館に着いた途端、大きな建物だったのがお気に召したのかAちゃんは図書館やら大広間やら、あっちこっちへと走り回るものだから追いかける俺の方が疲れてしまった。
侮ってたな……まさか人間の子がここまで元気いっぱいだったなんて。
『きぃとき、だっこ』
「はいはい……んもう、なんか自分の子供ができた気分だよ」
眠そうな顔のままんっ！と腕を上げたAちゃんをゆっくりと抱えあげれば、耳元でふわぁとあくびがひとつ。
「運んであげるから寝てても……ってもう寝てるし」
俺が声をかけた頃には既にすぴすぴと心地良さそうに寝息を立てていた。
吸血鬼相手にこんなにも傍若無人に振る舞う人間がかつて存在しただろうか？
……いや、本人は吸血鬼だなんて思ってないから怖がりすらしないのか。
いつも1人で使うには大きすぎると思っていた布団にAちゃんをゆっくりと降ろし、布団をかけてあげる。
特にすることもなかったので彼女の隣に寝転んで寝顔を覗き込めば、あまりにも幸せそうな表情をしているものだからこちらの口元も勝手に緩んでしまった。
「にしても本当に不用心だな。同じ人間でも悪い奴に見つかったら危ないのに……」
この子は誰に対してもこうやって興味津々になってしまうのだろうか。
親は本当にどういう躾をしているんだろう。
そう考えるとどこか心配な気持ちが湧いてくるのは、きっと吸血鬼だろうが人間だろうが関係の無いことだろう。
「日が登ったらちゃんと言い聞かせないと……ふわぁ、さっき起きたのにまた眠くなってきたな」
散々館の中を連れ回されたおかげか、元気になるはずの夜ですら人間みたいに眠気を感じるようになってしまった。
「ま、どうせ暇だったし俺も一眠りしようかな」
すりすり、と卵のような肌を指で撫でれば小さなふたつの手にきゅっと捕まってしまった。
……やっぱ弱くてかわいい存在って罪なんだなぁ。
「おやすみ、Aちゃん」
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ふわぴ(プロフ) - ビー玉さん» ありがとうございます…！嬉しいお言葉ばかりでものすごくモチベに繋がりました。これからも丁寧な表現と読んでいて楽しいお話が書けるよう頑張ります！ (5月25日 13時) (
レス) id: 159c9c50ae (このIDを非表示/違反報告)
ビー玉(プロフ) - めっちゃ好きです！個人的に特に好きなお話は傷ごと愛してです。特に最後のページでまるでその世界を眺めているような柔らかな感じが顕著に感じられて思わず涙が出でしまいました。いつも美しい作品ありがとうございます。これからも応援してます！ (5月22日 1時) (レス) @page20 id: 7a07f59bfb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふわぴ
| 作者ホームページ：http://urana
作成日時：2022年8月1日 14時
