アクリル恋模様 (ページ7)

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「Aはどんな死に方がいい？」
『……誰にも見つかりたくないから、きんときに抱きしめられながら崖から落ちる、とか』
「あぁ、それなら最期までずっとくっついていられるもんね。俺高いとこから落ちてもAのこと離さない自信しかないし！」

ふと彼の腕の力が緩められたのでゆっくりと顔を上げてきんときを見ると、なぜか彼はものすごく"好き"で溢れたような顔をしていた。
それを見ても怖いと思わなくなった私の頭は、果たして正常なのだろうか？

「でもいろいろ用意するものとかあるよね。どうせならやり残したことも全部やってから死にたいし」
『私、きんときと旅行に行きたいな。最近忙しくて全然一緒にいられなかったから』
「旅行かぁ、いいね。温泉旅館とかどう？」

こないだぶるーくにいいとこ教えてもらったんだよね、と彼はスマホを取り出して旅館を検索し始めた。
温泉いいなぁ、景色のいいところかな？きんときと一緒に入るのはちょっと恥ずかしいけど、でも……

「他はどう？やりたいことある？俺はね、Aと一緒にスキーとかしてみたいな」
『うえぇ、私運動苦手だよ』
「大丈夫だよ、俺がちゃんと教えてあげるから。それに慣れたら案外楽しいもんだよ？」

スキーなんてしたことないや。なんだかバランス感覚とか必要そうだし、全然体力無いからすぐ疲れちゃいそう。
でもきんときと一緒なら大丈夫かな？彼は運動神経もいいから、きっと教え方も上手いんだろうな。
私がふらふらしても優しく手を取りながら滑り方とか教えてくれるのかな。
スキーが終わったあとは寒いだろうし、2人でおしゃれなカフェにでも行ってあったかい飲み物を飲んで楽しくお喋りするの。

それってとっても楽しそうだなぁ。

「……で、あとは遺書だね。一応残しておかないと」
『ぇ、あ……』
「ん？だって必要でしょ？俺もメンバーにはちょっと迷惑かけることになっちゃうからなぁ。遺体が見つからないにしろ死んだことくらいは報告しておきたいし」

ああそっか、私たちっていま死ぬことを考えてたんだっけ。
あまりにも楽しそうなことばかり考えるから頭が少し混乱してしまっていた。そうだ、そのあと死んじゃうんだ。