アクリル恋模様 (ページ6)

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「じゃあさ、一緒に死ぬプランでも立ててみようか」
『……え？』
「あはは、そんな顔しないで。大丈夫だよ、ほんとに死ぬわけじゃないから」

あまりにも唐突な提案に動きっぱなしだった私の頭は緊急停止した。
確かに、自分で死にたいって言ったけど……一緒に死ぬって、きんときは何を言ってるの？

きんときは私の頭を自分の胸に押し付けて、まるで子供をあやすかのようにとん、とんと背中を撫でながら話を続けた。

ねえまって、これじゃきんときの顔が見れないよ。

「人ってね、本当に死のうと思って死に方とか考えてると死ぬ気なくなっちゃうんだって」

そのためにたくさんの死に方をまとめた本とかもあるみたいだよ、なんて優しいトーンでそんな事を言われても。
いつもなら手当てをしたらそのまま彼と一緒に寝て、朝になって全てを忘れて終わりなはずなのに、そんな突飛な話を上手く飲み込めるわけがなくて。

でも優しいきんときに甘えることにしか脳がない私は、彼のなすがままにされることしかできなかった。

ねえ、きんとき。
きんときはいまどんな顔をしているの？

心臓は規則正しく動いているけれど、彼が何を考えているのかいつも以上に読み取れない。なんだか底なしの闇に触れたような、そんな恐ろしささえ感じられて私は思わずぶるりと小さく身震いをした。

「いっぱいあるよね、首を吊るとか高いとこから落ちるとか……お互いに刺すのは嫌だなぁ、俺Aのこと手にかけるなんてできないし」
『……きんとき、怖いよ』
「心配しないでも殺すわけじゃないってば」

彼は他にも薬の過剰摂取とか、あぁ練炭もあるっけといつもの声のトーンで恐ろしいワードをぽんぽんと出してきた。

その間も彼の手は休むことなく私の背中や頭の上でずっと動き続けている。
そんないつも通りの声と行動のせいで、びりびりとしていた私の頭も次第にぼんやりと和らいできた。

きんときと一緒かぁ、それなら別にいいかも……なんて考えるまでには、落ち着いてしまった。