アクリル恋模様 (ページ47)

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『わあ……星綺麗だね』
「街の灯りがない分見えやすいんだろうね」

お腹がいっぱいになった私達はまたきりやんの車に乗り込んで、ゆっくりと自宅へと戻っていた。

もう人も鳥もみんなが寝静まった時間帯。夜空の星だけはキラキラと元気に輝いていて、お腹だけじゃなくて心も満たされていくのを感じる。

窓の外をぼんやりと眺めていると、次第に瞼が重くなってきた。自然と口からあくびが漏れれば、隣からふふっと笑い声が聞こえた。

「おなかいっぱいで眠くなっちゃった？」
『ん〜……そうかも』
「寝てていいよ。家着いたら起こしてあげるから」
『うん…ねえ、明日きりやんの家から学校行ってもいい？』
「へ？それってつまり俺の家に泊まるってこと？」
『だってやんの家のが近いから』

正直1秒でも早く布団の中に入りたい。なのでここから私の家よりも近い彼の家で寝てしまおうという魂胆だ。
わざわざここまでついてきたんだからいいでしょ？と駄々をこねると仕方ないなぁと返された。

『そんなこと言って、すごいニコニコしてるよ。家帰っても変なことしないでね？』
「す、するわけないじゃん！」
『ほんとかなあ……Aちゃんは眠くなると機嫌悪くなるんだからね。襲われたら殴っちゃうかもしれないからね！』
「分かってるって。ほんとに殴られそうだから今日はやめときます……」

今日は、ってどういうことかな？？？

問いただして追い詰めてもよかったけど、今はこの心地よい眠気に身を任せたかったので何も言わずにゆっくりと目を閉じた。

車が減速して止まるのを感じたとき、頬にちゅっと唇が触れる感覚。

「……お姫様のためにもちゃんと安全運転しないとね。おやすみ」

青信号になって再度動きだした車は、綺麗な夜空の下を駆け抜けた。