アクリル恋模様 (ページ45)

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『え、きりやんさん怖いんですけど』
「大丈夫だって悪いようにはしないから」
『ええ……えっ、高速道路？』

カチカチとウィンカーがついたかと思えば、車は高速道路へ繋がる道に乗り出した。
思わずばっときりやんを見つめれば、彼はルンルンと鼻歌を歌いながら楽しそうに運転している。

あ〜……これは食べ物関連でウキウキしてるときのきりやんだな。こうなってしまっては私が何を言っても強行突破されるだろう。
現にそうされているわけだけど。

にしても高速道路に乗るなんて、まさか隣県にでも連れて行かれるの？この時間から？
いくら明日の授業がお昼からだってさすがにそれは、と心配していると、少し先に街灯とも対向車とも違う光が見えた。

「もうすぐ着くよ！あ〜楽しみ……！」
『へ、もうすぐ？』

ぱちぱちと瞬きを数回すれば、車はそのままその光の方へと飲み込まれて行った。
テンションの上がった彼に手を引かれるがままついていけば、そこはただのパーキングエリアだった。

『はえ……ここ？』
「そ！ここ！」

ウィーンと無機質に動く自動ドアを過ぎれば、そこは人がほとんどいない……いるとしてもトラック運転手のような人しかいない、ちょっと寂れたように見える休憩所だった。
中には小さなコンビニのような店とラーメン屋さんが隣接していた。

どれにしよっかなぁ〜と券売機の前に立ってお金を入れたきりやんの声はとても嬉しそうだった。

「ここ穴場だってネットで見てさ。いつか来たいと思ってたんだよね〜！Aも好きなの選んでいいよ」
『ラーメンかあ……う、でもこんな時間にラーメンなんか食べたら太っちゃう！』

そんなことを言いつつも、券売機の上に貼られているラミネートされた商品の写真を見ているとぐうっとお腹が鳴った。
少しだけ恥ずかしくてばっとお腹を隠すと、隣でニヤニヤと悪い顔をしたきりやんがこちらを見ていた。

「大丈夫だって、Aは痩せてるんだからたまに食べるくらいいいでしょ？」
『う〜……いい、かなぁ？』

迷いつつも私の視線は勝手にラーメンの写真へと向かってしまう。とんこつも美味しそうだし、みそもいいなぁ……あ、塩もある。

うぅ、お腹が空きすぎてどれがいいかわかんないよぉ！