アクリル恋模様 (ページ44)

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『っあ〜！終わった！提出できたよきりやん！！』
「やばいあと何分！？」
『あと5分で日付変わっちゃう！』
「ひぃ〜！あとは保存して提出先のページに飛んで……」

カチカチと焦ったようなクリック音が数回ほど聞こえたかと思えば、無事提出できたのか終わった〜！と脱力した彼の声と軋むゲーミングチェアの音が聞こえてきた。

『よかった……無事に終わったよお』
「ね、ホントに。てかめちゃくちゃ腹減った……A、夜ごはん食べた？」
『んーん、食べる暇なかった』
「だよね。んー……」

チラリと時計を見ると、丁度0時になった瞬間だった。
うわぁ、今からごはん食べたら体に悪いな……無理やり寝ちゃえば空腹も紛れるかなぁ。

でもやはり体は正直なもので。
ぐうっと鳴るお腹の音を無視することもできずにどうするか唸っていると、電話口から名前を呼ばれた。

「ねえ、明日って授業ある？」
『明日はね〜、午後からあるよ』
「ならよかった。それならさ、今からちょっと付き合ってくんない？」
『え、こんな時間から？』
「そうそう。ちょっと悪いことしに行こうかなって」

きりやんはふっふっふと悪い笑い声を漏らしたかと思えば、迎えに行くから待ってて！と言いそのまま勝手に電話を切ってしまった。

空腹と疲れによってこれから何が起こるのか予想もできなかった私は、ひたすら頭にハテナを浮かべながらもとりあえず着替えを済ませてきりやんの迎えを待つことにした。

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『え……もしかして私いま拉致られてる？』
「そうそう。空腹モンスターのきりやんに拉致られてるんだよ」
『ねえきりやんも疲れてるでしょ』

きりやんの車に乗り込んでから数十分。

いきなり連れ出されたけど、こんな夜遅くに車でどこかへ向かうことなんてなかなかないから内心ちょっとわくわくしていた。

車もほとんどないし人も歩いてない。まるでこの世界に私達しかいないみたいで不思議な気分になる。

彼の好きなアーティストの曲をぼんやり聞きながら窓の外を眺めていれば、街灯の本数がどんどん少なくなり、建物らしき建物も見えなくなってきた。

なんだか雲行きが怪しくなってきたような気がする。