アクリル恋模様 (ページ34)

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『無視してごめんね。いま顔ひどいよね……』
「んーん、そんなことない。俺さ、ちょっと言い方悪いかもしんないけど頑張って苦しんでる人の顔って、何よりも綺麗だと思うんだよね」

それが好きな人のなら尚更ねと、ぼやけた視界の先でなかむくんは優しく目を細めた。
それを見るとなんだか安心してしまって、またぼろぼろと目から涙が溢れてしまう。それを見てぎょっとした彼はすぐに空いた手で私の目元を拭ってくれた。

さっきまで自分とかどうでもいいし、どんなに頑張ろうといい結果が出るとは限らないしって思ってたけど、でも。
私の好きな人が、私のことでこうやって表情も感情も動かしてくれると思うと、もうそれだけでも全部に意味があったのかなって。

なかむくんが私を大切にしてくれるなら、それだけで私には生きる価値があるのかなって思うことができるから。

「ねえ、ぎゅってしてもいい？」
『……ん』
「ありがと。はい、おいで」

ベッドの縁に座って腕を広げた彼に向かって、全体重を預ける。
泣きすぎて頭がぐらぐらするけど、なかむくんの香りに包まれるとそんな痛みすら気のせいに感じる。

ぎゅうっと力を込めて私を受け止めてくれる彼は、私が泣き止むまでAのいいところはね……と、ひとつひとつ伝えてくれた。

「ひとつのことに集中したらそれをやりきるまで走るところとか俺よりもかっこいいし、でもこうやって俺に甘えてくれるところなんてめちゃくちゃかわいいし、他にはね……」

普段ならきっと恥ずかしすぎて途中でやめてって止めてたかもしれないけど、ズタズタになってしまった今の心にはそんな重すぎるくらいの愛の言葉がちょうどよかった。

たくさんの穴が空いた心をひとつずつ埋めてくれるような、そんな感じ。