アクリル恋模様 (ページ4)

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ふと時計を見ると朝礼までまだあと30分くらいはあった。
無意識マウントをしてくるスマイルもいない、彼女も課題が終わって話す相手もいない。
……あれ、もしかしてこれ、大チャンスでは？

「あ、あのさっ！」

教科書を机にしまうために体を僕から背けようとしていた彼女を僕は思わず引き止めてしまった。
彼女も突然声をかけられて驚いていたものの、すぐにどうしたの？と微笑みかけてくれた。ああもうマジ無理、マジ天使すぎる早く僕のものにしたい……

そんな欲にまみれた感情を心の奥底に無理やり押し込んで僕は必死に会話の糸口を探した。

「えっと、あの……あっ、そうださっき言ってた犬ってどんなのだったの？」
『あ！さっきの会話聞いてたの？あのね〜！大きくてもふもふで、お耳だけ黒くて……』

彼女は僕が犬の話を振った瞬間目をキラキラと輝かせ始めた。
おぉ、すごい食いつきだ。そんなにかわいい犬だったのかな？僕も気になってきたなぁ。

彼女が出してくれたヒントを元に僕はスマホでその犬を検索し始めた。

「あ、ねえそれってこの子じゃない？」
『ほんとだ！ぶるーくくんすごい、今のでよくわかったね！』

スマホを覗き込みながらキャッキャと嬉しそうにはしゃぐ彼女。
顔が、ちょっと近かった。

ああ、嫉妬してイライラしちゃったけどスマイルにはちゃんと感謝しとかなきゃなあ。

「ったく、ぶるーくもAも最初から俺のことなんて無視して話せばいいのに」
「おっ、スマイル〜なんで本持ってそんなとこ立ってんの？てか教科書貸してほしいんだけど」
「なかむ、先週も忘れてなかったか？」
「あはは……ってなにあれ！？うわ、ぶるーくすごい顔してんじゃん！マジ？好きな子いたの！？」

まあ、僕たちのことを観察していたスマイルによってなかむ経由で友人みんなに僕の好きな人がバレたのは絶対許さないけどね？？？