アクリル恋模様 (ページ30)

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この頃、近所でよく見かけていたある女性がぱたりと姿を見消したそうな。
引っ越しただけなのか、誘拐かはたまた殺人か。どうやらその女性は普段から生気をあまり感じないような見かけだったらしく、自身で死んだのではとも噂されている。

死にたいときに死ねるなんて、そんな勇気があれば私だって今頃こんなことしてないのに。

生きてるのが辛くて、そんな"苦しい"を忘れたくて。お酒に逃げる人だっているんだから、コレだって別にいいでしょと言い訳を吐いた代わりにたくさんの"安定"を飲み込む。

あいつがいつも目障りで、何も出来ない自分が嫌い、彼だってきっとこんな面倒な私のことなんか……そんなくらいくらい言葉たちも徐々にふわふわとした安心に包み込まれて、どんどん浄化されていく。

あぁ、きもちいなあ。身体もさっきより軽いや。鏡を覗き込んでみると、さっきみたいな陰気臭い面の女と同じとは思えないくらいの美少女が微笑んでいた。
目もほどよくぱっちりで、ちょっとナカミが虚ろな気もするけどそれもひとつの愛嬌。そんな顔立ちの整った女の子。今のわたしなら、ぶるーくももっともっと好きになってくれるかなぁ？

スキップに近いような軽い足取りで彼のいる部屋に向かい、どあを開けてみる。
するとそこには驚いたようなかなしんでるような顔のぶるーくが。

『えへ、ぶるーく！ねえいまの私すごくかわいくない？ねえ、これならもっともっと愛してくれるよね？』
「A……また、飲んじゃったの？」
『なんでそんなくらい顔してるの？あっ、分かった！私がかわいすぎて他の男のところに行かないかしんぱいだったんでしょ！』

私はぶるーくしか見てないから大丈夫だよ！本当に、ほんとにぶるーくのことしか見えてないんだから。
未だに立ち尽くしている彼にぎゅうと抱きつくと、彼は私に体重をかけて、そのまま後ろの壁に私を押し付けた。どす、と背中がかべにぶつかってちょっといたいけど、これくらいだいすきなぶるーくのためならがまんできるよ！

ねえ、だから、そんなつらそうなかおをしないで？