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ごめんごめんと笑いながらきんときくんはまた対面の席に戻った。
するとちょうど良いタイミングで頼んだコーヒーが運ばれてきた。早速1口飲んでみると、温かくて味わい深いコーヒーの風味が口の中に広がって寒かった身体をぽかぽかと温めてくれた。
それにしてもこんないいお店があったの知らなかったな。わざわざ調べてくれたのかな、なんて思いながら湯気の向こうにいる彼をちらりと見てみると、どことなく真剣な顔をしながらコーヒーを啜っていた。
「……ねえ、Aちゃん」
カチャ、とカップが置かれた音がしたと同時に、きんときくんは少し鋭い眼差しでこちらを向いた。
「やっぱり、クリスマスプレゼント今もらってもいい？」
『え？でも私なにも持ってないけど……』
「うん、それでいいの。俺が欲しいのはAちゃんだから」
…………え？
私はあやうく手に持っていたカップを落としそうになってしまった。っていうかちょっと零れた。
改めてきんときくんをじっと見つめると、私ですら緊張してしまうくらいの緊迫感が伝わってくる。
『わ、私……なんかでいいの？』
「Aちゃんなんかじゃなくて、Aちゃんじゃなきゃダメなの」
だから、クリスマスプレゼントの代わりに俺の彼女になってください。
そんなちょっと震えた彼の声を聞いた瞬間、私の目からは思わず涙が溢れ出てしまった。
『はい、もちろん……！』
「！……よ、よかったぁ、やばい死ぬほど緊張した……」
彼はほっと胸を撫で下ろすと、わざわざもう一度私の隣まで来てぼろぼろと溢れる涙を拭ってくれた。
いつもどこか余裕のある彼が緊張する原因が私だなんて、そんなの嬉しすぎてしばらく泣き止むことなんてできなさそうだ。
「もう、そんなに泣かないで。ほらコーヒー冷めちゃうよ？」
『そんなこと言って、きんときくんもまだちょっと声震えてるのに』
「うそ！？やだなぁ……君の前でくらいかっこつけたかったのに」
ダサいなぁ俺、なんて笑うきんときくんは私の中では誰よりもかっこいいサンタさんだった。
今までもらったどんなものよりも素敵なプレゼントを、私はきっと一生忘れないだろう。
『きんときくん、メリークリスマス』
「ん、メリークリスマス。……あはは、今日が人生で1番幸せなクリスマスかも」
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作者名：ふわぴ
| 作者ホームページ：http://urana
作成日時：2021年12月1日 19時
