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それじゃあ行こうかなんて言いながら、彼はまたちゃっかりと私の手を繋いできた。
『ちょ、ちょっときんときくん』
「あ、もしかして嫌だった……?」
『嫌とかじゃないけど、でも』
「ならよかった!そうだ、さっきあげたやつ開けてくれた?」
なんだこの人、私の言う事を聞く気がないのか?
考えることを半ば諦めはじめてきた私は大人しく彼の手を握り返しながらまだです、と答えた。すると彼はそれなら!といきなり方向転換をして、さっきの店とは違う方向に歩き始めた。
『やっぱり、スマホ忘れたなんて嘘でしょ。さっきいじってたじゃん』
「え、そんなに俺のこと見ててくれたの?他の人はだれも気づかなかったのに」
『ちがっ、そういうわけじゃ!』
「まあAちゃんもさっきスマホ見てたからおあいこだね」
普段はこんなこと言わないのに……いや、仲良くなってから多少は冗談言うようになってきたけど。ここまでからかってくるなんて酔ってる?と聞いてみると俺今日お酒飲んでないよと言いながら彼はとある店の中に入った。
「外じゃ寒いし、俺とここで二次会しよ。Aちゃん確かコーヒー好きだったよね」
店の中に入るとコーヒーの芳ばしい香りがふわっと私たちを包む。照明も少し暗めの落ち着いた店内は私の浮ついた心も少し大人しくさせてくれた。
適当にコーヒーを2つ頼むと、彼は早速私に箱を出すように言ってきた。
『ねえこれ他の子にもあげたりしてないの?』
「なんで?Aちゃんにしかあげてないけど」
『う、それなら嬉しいんだけど……』
そんな屈託のない笑みで言われたら信じざるを得ないのに。彼にはやくはやく!と楽しそうに急かされた私はようやく青いリボンを解くことになった。
しゅる、とリボンを解いて、白い箱を開けてみるとそこには____
『わあ!かわいい……お花のイヤリングだ』
控えめだけど、鮮やかで繊細な青い花のモチーフがついたイヤリングが入っていた。
持ち上げて光に当ててみると、花びらの部分が青く透けて本当に綺麗だった。
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作者名:ふわぴ | 作者ホームページ:http://urana
作成日時:2021年12月1日 19時