アクリル恋模様 (ページ25)

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それにしても、今なら私のことを気にかける人もいないしちょっと寝ちゃっても大丈夫かな？
正直眠気が限界を迎えていてさっきから首が勝手にこくこくと動いてしまうのだ。
しかしそのとき、こつんと何かが膝に当たる感触がして少しだけ目が覚めた。

『へ……？』
「ふふ、眠そうだねAちゃん」

どうやら感触の原因はきんときくんらしい。彼は楽しそうに目を細めながら私のことを見ていた。
あれ、きんときくんはボードゲームの方に行かないんだ。あっちからはきんときくんを呼ぶ声がたまに聞こえてくるけど、彼はあとから行くってば〜と返しながらも頑なにその場から動かなかった。
というか、いつから私のことを見てたんだろう？あまりにも眠かったから気づかなかったけど、見られてたと思うとちょっと恥ずかしい。

それにしても、この膝に当たった箱はなんなのだろうか？
これは？と彼に目で訴えかけてみると彼はもう一度「ん！」と私に箱を押し付けてくる。受け取れってことなのかな？

「これあげる。後で開けてみて」
『へ、なんで……？』
「俺からAちゃんへのクリスマスプレゼントだよ」

喜んでくれるといいけど、と言い残してから、彼は先程から呼ばれていたボードゲームの方に向かっていった。

……ちょっとまって、きんときくんから私へのクリスマスプレゼント？ってなに？？

驚きで固まったまま、私は膝の上にある青いリボンで包まれたかわいらしい箱を見つめた。
正直なんで、どうして？といった考えしか頭に浮かばない。

私ときんときくんはそこまで親しい間柄でもないのに。まあ、同じ授業のときは近くに座ったり、顔を合わせたら少し会話したりもするけど。それでも、クリスマスプレゼントをもらえるほど仲良くはないのに……

こんなことされたら嫌でも浮かれちゃうんだけど。
私は完全に覚醒した頭で遠くにいるきんときくんをこっそり見つめながら、グラスに残っていたレモンサワーをぐっと飲み込んだ。