アクリル恋模様 (ページ23)

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「もー、すぐに頭ショートしちゃうんだからAちゃんは……だからね、俺の彼女になってくれるのはいつ？って聞いてるの」

俺の、彼女……？

『せっ！……んぱいの、彼女…………！？』

きんとき先輩の言う通り、脳のショートした私は先輩の彼女！？と叫びそうになったものの無理やり自分の口を抑え、なんとか我慢した。

は、うそ、なにかの冗談？やだな、私がお兄ちゃんってからかったからって……
でも、先輩の顔は真剣そのものだった。

それはいつもみたいに優しいお兄ちゃんって感じじゃない、1人のかっこいい先輩としての、そんな表情。

「そう、俺の彼女。それともお兄ちゃんと妹のままがいい？」
『やだ！っあ……いや、その』

彼女がいいです、と呟いた声は小さすぎて先輩に届いてるか分からなかったけど、それでもちゃんと聞き取ってくれたらしい。

その証拠に、先輩はまたさっきみたいに近づいてきて、そして______

さっきとは違う、感触なんかを感じちゃったりして。

部室とは少し離れたところからチャイムが聞こえる。もうそろそろ下校の時間だ。
私との親愛度が限界を超えた先輩は、嬉しそうに目を細めながら手を差し出してくれる。

「それじゃ早くこれ提出して帰ろ」
『……はい』

確かに、こんなにかっこいい人がお兄ちゃんだったら正直絶望していたかもしれない。だって兄妹で付き合うなんてできないし。

後ろで私たちを見守る夕日が伸ばす2つの影を見つめながら、私はさらに彼氏のきんとき先輩に近づいたのだった。