アクリル恋模様 (ページ22)

今日:15 hit、昨日:7 hit、合計:62,071 hit

+ ページ22

**

『はぁ、こんなお兄ちゃんやだ……』
「ほんと失礼な後輩だなもう。ほら予算終わったの？」
『終わってないです。お兄ちゃんやって』
「仕方ないなぁ。貸して、お兄ちゃんがやってあげるから」

さっきからお兄ちゃんだの先輩だのと矛盾したやり取りを繰り返しながら、私は先輩にノートをペンを渡した。
さっきので完全に身体が脱力してしまったのでそのまま机に突っ伏すと、ちょっとだけ顔に当たった机がひんやりとしていて気持ちよかった。

今日寒くてよかった、冬なのに暖房なんていらないくらい身体がぽかぽかとしてしまっているから。
帰る頃には普通の体温に戻ってくれるといいんだけど。じゃないと下校中の友達に見られたらたまったもんじゃない。

しかし、そんな私を先輩はまだ許していなかったらしい。

カリカリと小さく聞こえるボールペンの音に耳を澄ませていたら、先輩はまたその大好きな声で私の心臓を壊しにきたのだった。

「……で、いつになったらお兄ちゃん脱却してくれる？」
『え、なにがですか？』
「だから、いつになったらお兄ちゃんよりも親密な関係になってくれるのかってこと」

先輩がよく分からないことを言ってるのが悪いのか私の飲み込みが悪いのか、一体なにを言われてるのか分からなかった私は、ぱちぱちと瞬きをしながらノートに数字を書き込む先輩を見つめた。

すると予算を全て書き終えたのであろう先輩は、カチリとボールペンの芯をしまってノートを閉じて、また私の隣までやってきた。