アクリル恋模様 (ページ18)

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「ね？動画なんかよりも本物の人間がやったほうがいいでしょ？」
『うるさい……もうあんなの聞かない……』
「うんうん、聞きたくなったらまたやってあげるからね」
『そうじゃないってば！』

あれから数十分、散々彼に弄られまくって頭が沸騰しそうになった私はようやくきんときから開放された。
頭から布団を被って彼から身を守っていると布団の外からごめんって、と声が聞こえてきた。

「でもAが悪いんだよ？こないだ俺のスマホ使って動画見てたでしょ」
『えっ……え！？嘘いつ？』
「一昨日の夜かな。たぶん寝ぼけてたんだと思うよ」

がばっと布団から起き上がると彼はあはは、と苦笑いしながらぼさぼさになった私の髪を優しく直してくれた。もう、そういうとこホント狡くて腹立つんだけど。

一昨日の夜といえば、きんときがお風呂に入っている間リビングで私ときんときのスマホを充電してて……確か、そのとき私リビングで寝落ちしたはず。

恐らくそのときに寝ぼけながらきんときのスマホを使ってしまったんだろう。

『は〜……最悪』
「俺はちょっと楽しかったけど」
『私は疲れました』
「もう夜も遅いし、一緒にお風呂入って早く寝よ」
『うん……いや、一緒に入る必要ある？』

危うく流されそうになったが私はぶんぶんと首を振って拒否した。これ以上は私の心と体が持たないのだ。

私先に入るから入ってこないでね！と言いながらきんときの顔に布団をぼふっと投げつけて、私は部屋を飛び出した。
さすがにこれ以上は私が怒ると察したのか、きんときははぁいとちょっと寂しそうな声を出した。

そんな声出されたって騙されないからな私は！

『しばらくASMRはやめにしておこう……』

きんときから奪い取った自分のスマホの動画視聴履歴を消しながら、私はそう心に決めたのだった。