アクリル恋模様 (ページ17)

今日:30 hit、昨日:7 hit、合計:62,086 hit

+ ページ17

**

『ごめん、ちょっと動画見てて気づかなかった』
「ふうん……どんな動画？」
『へ、え、いやぁ、あの……』

まずい、これはバレたらとんでもないことになるやつだ……！私の第六感がそう訴えかけてきた。

きんときはベッドに腰をかけてニコニコしながらこちらを見ている。でもそのニコニコにはなにかよろしくない雰囲気が漂っているようにも見えた。

……もしかして、バレた？

いや、でもスマホの画面は見られてないはず。ならまだ誤魔化しようはある！たぶん！

『ほらあの、私最近音フェチ動画好きって言ったじゃん？それ聞いてたの！』
「へ〜、どんなの見てるの？履歴見せてよ」
『りっ、れき、は〜……あっ間違えて消しちゃったかも……？』

スマホを後ろ手に隠して、私は負けじとニコニコしながらそう返した。明らかに挙動不審になってしまったけど。
そんな私をきんときはじと、と私の目を見てくる。

「ね、スマホ見せて？」
『なんで？』
「だめ？」
『うん』

今きんときの顔を見たらダメだ。きっとめちゃくちゃ爽やかな顔で私のことを落とそうとしてくるはず。
こいつはそういう男だって痛いほど知ってるからね。

無理にでも顔を合わせようとしてくるきんときから必死に逃げていると、痺れを切らしたのか彼はもう！と言いながら私をベッドに押し倒してきた。

『ひえっ、ちょっときんときさん！暴力はよくない！』
「暴力じゃないよ、これは一種の愛情だから大丈夫」
『大丈夫じゃないってば！……あっ』

そんなやりとりをしている私の隙をついて彼は私のスマホを無理やり奪い取った。
ちなみになぜか片手は私を逃げないようにするためにかぎゅっと握られている。しかも、指まで絡めて。

あぁ終わったな。次からはもうきんときが家にいないときに聞こう……

「やっぱりね。俺に隠れてこーゆーの聞いちゃうんだ？」
『別に隠れて聞いてたわけじゃ』
「じゃあなんで隠したの？」
『…………』
「聞きたいならいつでも言ってくれればよかったのに」
『はい？……いや、きんときさん？』

私のスマホをベッドの隅にぽいっと投げると彼はもう片方の手で私の手を握った。

……待って、なんで私いま両手拘束されてるの？

「やっぱこういうのはリアルさが大事だもんね。Aもそう思うよね？」

目の前まで接近したきんときの顔は最早爽やかさなど微塵もなく、完全にいたずらっ子のそれだった。