アクリル恋模様 (ページ15)

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あーあ、なんか変な空気になっちゃったな……
私たちはしばらく2人して硬直していたものの、ふいに放課後が始まるチャイムが聞こえてきた。
そういえば、今日は私もきりやん先輩も帰りの会を早めに切り上げてから委員会の準備を始めたんだっけ。

……あれ、委員会の準備？

もしかしてこれってやばいのでは？と思い先輩の顔を見ると、先輩も焦ったような顔をして私のことを見つめていた。

「まってやばい委員会始まっちゃう！」
『印刷終わってないのに……！残り急いでやっときますから先輩はできてる分持って教室行ってください！』
「ごめんありがとう！俺先に行くね」

先輩は既に印刷してあった紙の束をがっと掴んで印刷室から飛び出していった。

どうしよう、とりあえずあと5クラス分くらいだから印刷機を設定し直してさっさと印刷すれば7、8分後くらいには行けるはず。

早く作業に取り掛かろうと印刷機と向かい合うと、なぜか戻ってきたきりやん先輩がドアの方から話しかけてきた。

「転けないように気をつけてね！委員会は俺が進めておくしゆっくり来ていいから！」
『あ〜もう！転ばないですから！早く行ってください！！』

失礼も承知の上で先輩をしっし！と手で追い払うと彼はもう一度ほんとにゆっくりでいいからね！と叫びながら走っていった。

いろいろなことが起きすぎて頭がパンクしそうだったものの、なんとか印刷の設定を済ませてスタートボタンを押し、その場に蹲った。

『は〜……ほんと困る、これからの話し合いどんな顔して先輩の隣にいればいいの……！』

さっき見た先輩の顔が頭から離れない。
しかもなんかめっちゃ過保護だし、なにあれ彼氏ですか！？
頭をぶんぶんと振りながらなんとか冷静になろうと努力するものの、こんな感情は初めてなせいで冷静になれそうもない。

『うう……もう今日一生印刷終わらなくていい……』

先輩に合わせる顔がない。なさすぎる。
しかしそんな私を無視して目の前の機械は正常に印刷を終了した。

仕方ない、委員会のときはどうせ書記役もしないといけないし、黒板とノートだけ見て絶対に先輩の顔は見ないようにしよう……！
私は自分の手に"先輩の顔を見ない！"とメモ書きをして、残りのプリントを抱えて先輩が待っている教室へと向かった。

____委員会が終わったあとに手のメモを見られたせいで誤解されて勝手に落ち込まれたけど、まあメモしろって言ったのはきりやん先輩だから先輩が悪いってことで、ね！