+ ページ13
**
でも、それが彼女の進む道なのならば。
練習で疲れて、ファンに嫌なことを言われて沈んだ顔をしている彼女が俺のたった一言で喜んでくれるのなら。
……まあ正直、恥ずかしくて言いたくねぇけど。
「愛してるよ」
『……へ？』
「なにアホ面してんだ。2度も言わんぞ」
『は、え、なんで！』
「あ゛〜もうくっつくな！ほらまだ歌詞覚えないといけないんだろ、聞いといてやるからさっさと練習しろって」
『顔真っ赤にしてないであと1回くらい言ってよ！』
俺の肩を掴んでねえ〜！と揺さぶってくるAを無視しながら無理やり抱きかかえると、彼女はまたもや目を丸くした。
『え、すまっ、そんなのどこで覚えてきたの……！』
「お前が最近頑張ってるから俺も少しは鍛えようかなって」
今まで彼女を落としてしまいそうでやったことがなかったけど、やっぱりこいつめちゃくちゃ軽いんだな。もう少し食生活に気を使った方がいいのだろうか。
嫌だった？と聞くと彼女は真っ赤になった顔を覆いながらうぅ、と呻き出した。
「ははっ、かわいい」
『や、やめて……これ以上はもうダメ……』
スマイルがおかしくなったよぉ、と喚く彼女をソファに降ろして歌詞の書かれた紙を手渡すと大人しく受け取った。
以前ぶるーくにアイドルと恋愛なんて背徳感とかないの？と聞かれたことがある。それに対する俺の答えはそんな気持ち全く湧かない、だった。
なぜなら彼女の大変な部分を嫌というほど見てきたから。 それはもう、本人じゃない俺ですら目を覆いたくなるくらい酷いものを。
いくらアイドルとはいえ彼女は1人の女の子だから。
背徳感なんて感じる余裕などないくらい俺だって彼女を支えるのに精一杯なのだ。
……まあ、背徳感の代わりに湧くとしたら彼女のことを守りたいとか、そんなありきたりな彼氏としての感情くらいだろうな。
「なあ、次のライブっていつ？」
『え、来てくれるの！？』
「気が向いたらな」
俺は彼女の綺麗な歌声を聴きながら、次のライブにはぶるーくでも誘って行ってやるかと考えたのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 355人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふわぴ(プロフ) - 如月さん» ありがとうございます〜！！葡萄組いいですよね…私も大好きです🥳最後のお話は配信みてこういうの書きたい〜！！！と衝動書きしたものでした！笑 (2022年1月30日 11時) (
レス) id: 159c9c50ae (このIDを非表示/違反報告)
ふわぴ(プロフ) - 霰桜猫姉さん» コメントありがとうございます！オトナの責任は全面的にそれっぽい雰囲気を作り出しても結局は流れでやっちゃう、みたいな上手くいかないけどsmさんぽい感じになるよう頑張りました😌次回作もぜひお願いします！💕 (2022年1月30日 11時) (レス) id: 159c9c50ae (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - 完結おめでとうございます！葡萄一番すきなペアなので俺得すぎて…スマさんの最後のやつニーディーガールオーバードーズ思い出した！ (2022年1月29日 19時) (レス) @page46 id: d203b79d8a (このIDを非表示/違反報告)
霰桜猫姉 - 初めまして！最初の１話からもうすでに面白かったです。自分的には、smさんの「オトナの責任」が一番おきにです！！ちょっと Hぐらいのがめちゃ好きナンスよねぇ〜。次回作も楽しみにしております。 (2022年1月29日 13時) (レス) @page46 id: 1ddcc1de82 (このIDを非表示/違反報告)
ふわぴ(プロフ) - 俎板さん» わ〜い！ありがとうございます✨ 心に刺さるお話が書けていたでしょうか…☺️☺️ (2021年11月4日 0時) (レス) id: 159c9c50ae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふわぴ
| 作者ホームページ：http://urana
作成日時：2021年10月27日 21時
