しっぽえにっき【合作企画】 (ページ40)

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……聞き間違いなのかな、やっぱり。
遊園地、二人っきり、また、遊ぶ……

そんなことがあっていいのだろうか……！？

「あと、毎日一緒に下校したいなー。お弁当も一緒に食べたいし、あといろんなゲームしたいなー。あと――」

「ちょ、多くない！？というか呼び捨て……！」

遊園地行く流れからいきなり日常的な願望を語りだしたなかむ君。今の彼はくしゃっとした満面の笑みを浮かべている表情だ。

「あはは！思い出たくさんつくりたいなって思って。Aとはこれから沢山遊ぶはずだからさ」

「！なかむくん……」

「俺のことはなんて呼んでもいいからね」

クシャッとした笑顔から優しい笑顔になったなかむ、くん。いや、私に呼び捨てはまだ早い……

なんだか私だけドキドキしてるのではないか。もしかして、いろんな女の子に――

いやいや流石に考えすぎだよね……

「……Aだけだよ、こんなふうに接してるのは」

「？何か言った？」

「ううん、何も。帰ろうか」

自身を追い詰める考えをしていたとき立ち止まっていたから、なかむくんは私よりも先に歩いていったのだけれど。何か言っていた気がする……
きっと、また聞いても言ってないと答えるはず。強気で聞くのはよくない。

彼に言われた通り帰るため、私はなかむくんの隣を再度歩く。

「あっという間だったね。日が長いからってこの時間に一人で歩かせるのもなー。送ってくよ」

「まだ6時だけど……」

「もっと一緒に居たいの！ダメ？」

いつでもストレートに言う彼の言葉に嘘は感じられない。きっと、ちゃんと本心なんだろうと思う。
私に向けている笑顔は、薄暮に浮かぶ星々より輝いている。

「ダメじゃない、よ……！？」

荷物を持っていない無防備な左手が、なかむくんの右手に包まれた。
驚きで身体と心が跳ねた。紙袋に入っている、割れないように包装された風鈴の微かな音色とともに。

「本当は今日一日、ずっとこうしていたかったんだよね。……あぁそうだ。今度もまた水色の浴衣着てきてよ。めっちゃ似合ってるから！」

紙袋を持つ手にジワリと汗。浴衣を褒められた嬉しさ、手を繋いだ緊張、「また今度」という可能性のある言葉を聞いた興奮。

澄んだ水の瞳に射抜かれた私は、涼し気で綺麗な模様の風鈴を見たときのように、目が離せなかった。

こんなに輝く恋をするなんて一生ないだろう。いつかまた遊んだときに彼に伝えよう。

風鈴の瞳を持つ彼に。