君のせいです！

21話目 ページ21

まるで嵐のような部長と出会ってからも仕事の説明は続き、定時になる頃にはいつも以上にくたくたに疲れていた。


『シャオロン先輩やること多すぎないっすか？』

sha「しゃーないやろ。とにかくまずは慣れるのが1番やし、慣れたら少しは楽になるで？」

『うーん…そうだといいけど…』

sha「俺もサポートするし、また一緒に頑張ろな」


はぁい、と弱々しく返事をしてシャオちゃんとハイタッチをした。手に力を入れる気にもならなかったので音は全く鳴らなかった。


これがこれから毎日続くのか、体力持つかなぁ…と思いながら会社を出ると、自然と視線がバイク置き場に向いてしまう。

ショッピくんのバイクはまだいつもの場所に置いてあった。残業してるのかな…

というか、考えてなかったけど私が抜けた分もしかしてショッピくんに残業が擦り付けられてるんじゃ…とヒヤッとしてしまった。

いやでもあの上司イケメンには甘いし、今まで他の人に仕事振ることはそこまでなかったし…大丈夫、だといいけど。
心配しながらも私は自宅に帰ったのだった。




そしてそこから怒涛の1週間が始まった。
覚えることが多いのはもちろん、なぜかあの騒がしい美人部長にいろいろ連れ回されたのだ。
ここは得意先だから、ここはいまから得意先になるとこだから！とかよく分からないことを言われて先輩の仕事ついでに挨拶回りをさせられたのだ。
なんだか疲れすぎて１ヶ月分は働いた気分になる。


1番びっくりしたのは、部長のバイクに乗って移動したことだった。
こんな綺麗な人がバイクとかマジかかっこいいな、なんてぼけっとしているうちに少し危ないドライビングでたくさんの場所へ連れていかれた。ちょっと怖かった。

シャオちゃん曰く、これがこの部署の洗礼だそうだ。シャオちゃんも似たようなことをされたらしい。
部長が私たちのことを知りたいから、と言ってやっていることだそう。まあ確かに、趣味とか好きな食べ物とかどうでも良さそうな話はたくさんされたな…

しまいには『部長じゃ堅苦しいから梨香先輩って呼んで！』と強要されてしまった。さすがに部長にそんな馴れ馴れしくするのは…と断ってみたけどずっとやだやだと子どもみたいにごねられたので仕方なく梨香先輩と呼ぶことにした。

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