気をつけろバカ！ (ページ15)

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① ページ15

「めっちゃ久しぶりに食ったけどやっぱ美味いなこれ！」
「普段回らない寿司ばっか食べてるもんね…そうだよね…」

カップルを照らす超明るいイルミネーションとは逆の方向にグルッペンが進んでいくものだからきっと通なお店なんだろうと心を弾ませてました。(20代・女性会社員)

「すき家て！！！！！！！！！！」
「声デッカ」
「牛丼屋て！！！！！！！せめて回る寿司が良かった！！！」
「断る。俺、今牛丼食べたいから」

お馴染みの赤い看板が見えるので嫌な予感がしたが、まさか的中するとは。グルッペンとかいう経済力の持ち主が牛丼屋チェーン店に行くなんて似合わね～～！高校の頃もあのバリサクといい勝負してた声で駄々こねられて一度すき家行ったことある。それ以来だ。

文句は言えど奢ってくれることに感謝しながらグルッペンの後ろをついて行く。チーズのやつめっちゃ好きなんだよな…。
グルッペンのお気に入りメニューを思い出していると、グルッペンの背中に額と鼻がぶつかった。いきなり止まんな！と一喝してやろうと思ったが、どうしたものか本人が蹲った。

「グルッペン？」
「いや、これ自動ドアやないんやな……」

絞り出すような声が聞こえてハッとしてグルッペンの顔を覗き込む。涙目で鼻を冷たさではない違う意味で赤くしていた。幸運なことに店員は見ていない。

「ははははっ！ちょ、お腹痛い…！やめて！ふ、ふふ…！」
「笑うなや！」

どうやら高級店ばかり行きすぎてここのドアも自動ドアだと思い込み、そのまま足の速度を止めずドアにぶつかったらしい。手動ドアですけど！整った顔が、恥ずかしそうに眉を寄せて涙目になっている様子を見て笑いを堪えなかった。鼻を押さえながら片方の手でちゃんとドアを開けたグルッペン。店員が誰も見てないことが不幸中の幸いだった。