【REBORN】最高の幸せ 4【沢田綱吉】 (ページ6)

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156．今までみたいにさ…… ページ6

「今日はやけに話しかけてくるね、綱吉」

そんな私の精一杯の嫌味に、綱吉は反応することなく慌てたように靴を履き此方に駆けてくる。「そんなに、急いで帰らなくても……」と軽く息を切らして私を引き留める綱吉。

「A」と見たこともないくらいの不安そうな表情を浮かべながら、彼は私の両肩を掴んだ。男の人って感じの力強さや、微かに高くなった目線の位置。急に私のよく知っている綱吉じゃなくなっていることに気付く。

「……どうしたの？」
「A、俺達これからもずっと幼馴染として2人で一緒にいられるよね？」

「今までみたいにさ……」とこぼしながら私の回答を求める綱吉の表情は今にも泣きそうで、何と答えるべきなのかわからなくなった。

考えることを諦めたように思考は停止する。言葉にできない感情や葛藤を嘲笑うかのように、昔の綱吉の笑顔や振られた日の情景が次々と頭に浮かんだ。

込み上げてくる涙を必死に堪えながら、次の言葉を探しているときのことだった。

「ツナ～暇！ランボさんと遊べ！」
「ちょ、ランボ！いま大事な話してて」

空気を壊すように家の中から飛び出してきたランボ君。流れそうだった涙を必死に引っ込めて「ランボ君、らうじさんと遊んでたんじゃなかったの？」と笑いかける。大山らうじというシモンの人がランボ君のお世話をしてくれていたはずだが……。

「らうじはママンと話してる！ねーA遊ぼぉ」
「おい、ランボ！」
「ツナも一緒に遊ぶもんね！」

ランボ君に勢いよく右手を掴まれて体重を支えられずにバランスを崩す。そんな私を支えようとしてくれた綱吉だったが、バタッと2人してその場に倒れこんでしまった。

「いてて……A怪我してない？」と私の下にいる綱吉に言われて「っ、ごめん」と慌てて立ち上がる。

そんな気まずい空気の中、ランボ君は私達の気も知らず、好奇心を刺激する何かがあったのかどこかに行ってしまった。

「A」
「ごめん綱吉、重かったね」
「いいよ、気にしないで」

帰るタイミングを逃してしまい無言が続く。さっき落としてしまったお惣菜が無事なことを確認していると「……A」と何度目かわからない名前を呼ばれた。

「奈々さんにお礼伝えといてね。今度返しにくるから」
「……うん」
「じゃあね、綱吉」

話を無理やり終わらせて沢田家の敷地を出る。その際に一瞥した綱吉は、俯きながら力なくその場に座り込んでいて、思わず胸がきゅっと締め付けられた。