197．綱吉は、誰が好きなの？ ページ47
放課後になり、ひとりで暗い顔をして帰る綱吉に忍び寄る影。はぁぁ、と綱吉から大きなため息が聞こえた瞬間、背後の影が口を開いた。
「綱吉は、誰が好きなの？」
突然かけられた問いに綱吉は「俺は……」と返事を言いかけるが、我に返り慌ててその声の主の方へ身体を向ける。そこにあったのは、大きな瞳で此方を見上げるリボーンの姿だった。
「＿＿って、リボーン！」お前なにしてるんだよ、とギョッとした顔のまま軽く後退りすると、女子生徒の制服に身を包む目の前の赤ん坊は軽く口角を上げて「チャオっす」と笑う。
「てゆーか、何でAの真似なんか……。それに全然似てないし！」
「ん？俺はAの真似をしたなんて言ってねーぞ」
「なっ……！」
ぶわっと顔を赤くさせる綱吉は「か、髪型がAに似てたからそう思っただけで！」と、明らかにAのコスプレをしているであろうリボーンを指差して声を荒らげる。
動揺を隠せない様子の綱吉の姿に、リボーンは『面倒くせーな』と考えながら「ママンからの伝言だゾ」と奈々から渡されたメモを彼に手渡した。
「これって、買い物リスト？」
「卵のセールが16時からあるらしくてな」
チャオチャオ〜、と言い逃げしたリボーンの背中を呆然と見送った綱吉は、近くの公園にある時計を見て「げ！あと3分しかない！」と目を見開いたのだった。
その後、慌ててスーパーに駆け込んだ綱吉は、タイムセール常連の主婦達との戦いに勝ち、無事に卵を1パック手に入れることができた。
今日は色々あったな、と綱吉がAのことを考えて帰宅していると「ツナ君？」と偶然通りかかった炎真が彼の名前を呼ぶ。
「炎真！」
「あれ、買い物帰りなの？」
「母さんに頼まれて」
目を血走らせた主婦達と卵の安売りの争奪戦に参加したことを炎真に遠い目をして話す綱吉。大変だったね、と声をかけた炎真は彼の隣に並びながら「そういえば」と口を開いた。
「A、今日登校してたね」
「！……うん、そうだね」
途端に顔色が変わった綱吉に気付いた炎真は「何かあったの？」と咄嗟に声をかける。すると、彼は「幼馴染離れした方がいいって、黒川花に言われたんだ」と重たい口を開いた。
「幼馴染離れ？」
「うん。俺、Aの行動をずっと制限させてたみたいで……」
その言葉を聞いて炎真は思わず息を飲む。幼馴染の関係に執着している綱吉にとって、Aと離れるということは最も辛い選択になる思ったから。
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作者名：√A | 作成日時：2023年7月6日 19時
