【REBORN】最高の幸せ 4【沢田綱吉】 (ページ43)

今日:27 hit、昨日:2 hit、合計:17,390 hit

193．さっき京子が探してたよページ43

Aが休み明けに登校すると、風邪で休んでいたと思っていた京子達にあっという間に囲まれた。傷口に負担をかけないようにと渡された松葉杖のせいで、彼女達に余計な心配をかけたようだ。

「怪我したの？」という言葉に「ちょっと階段から落ちちゃって」と苦笑いで誤魔化すこと数分。

「でも、元気そうでよかった！」と涙を浮かべた京子の可愛さと自分を無意識に比べてしまって、途端に切なくなり「ありがとう」と伝えたときの笑顔が上手く作られていたのかはよく覚えていない。

「あれ？」
「どうしたの、京子」
「んー、ツナ君どこに行ったか知らない？」
「……知らないけど」

私の登校していない相手に2人に何らかの進展があったのだろうか。探している理由を尋ねても「えへへ、内緒だよ！」と笑って京子に誤魔化されて胸が痛む。

もう既に付き合ってたり……しないよね。そんな考えたくもない嫌な予感のせいで、心臓あたりが急激に冷えた気がした。

『綱吉は行動する前に私に全部相談するところがあるから大丈夫』と自分に言い聞かせるものの、彼が私に黙って京子に告白したときから私の知っている綱吉ではなくなったことを思い出してしまう。

どんどん成長して大人になっていく綱吉と変わらないままの私。告白したって、髪型を変えたって、綱吉に何も意識してもらえない私はこれからもずっと幼馴染以上にはなれないのだ。

「綱吉、さっき京子が探してたよ」
「本当？なんだろう」

通りかかった綱吉に京子のことを伝えると、彼はまっすぐ廊下にいた彼女の元へ向かう。その背中を目で追いかけていると、綱吉に気付いた京子が目をキラキラと輝かせて何かを話し出した。

……あー楽しそう。
ふたりして笑っちゃって。
今までその場所は私だけの特権だったのに。

大切なふたりのことを妬む自分が嫌で堪らないのに、視線をそらしても気付けば見てしまっている。席替えで廊下側の席になったことをこれほど後悔したことはないだろう。

「……」

京子はパーソナルスペースが狭い。誰とでもすぐに打ち解けられるし、嫌悪感すら抱かせない自然なボディータッチで相手の懐に入り込むことができる。綱吉、さっそく京子に握手されて顔赤くしてるし……。

私も天然になりたかった、と自身の察しの良さが嫌になり思わずため息をついた。

「おい」

すると、ドスッと突然目の前の席に座った生徒に声をかけられ目を見開く。そこには、随分と話していなかった隼人の姿があった。