【REBORN】最高の幸せ 4【沢田綱吉】 (ページ42)

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192．荷物持つよページ42

本人が早めに退院したいと希望していたこともあり、目を覚まして数日も経たない間に医師から定期的な通院に切り替える許可をもらったA。

「体調はどうだ？A」
「リボーン君、もう大丈夫だよ」

ビアンキに借りた服に着替え、早速荷物をまとめていたAの背後にはリボーンが立っていた。

やはりビアンキの服は露出が目立つ。いつもの清楚な雰囲気とはまた別の見慣れない姿をしているAに『相変わらず将来が楽しみな女だな』と考えながら彼女の整った容姿を見上げた。

「あれ、何かいいことでもあったの？」
「ん？」
「何だか前に見たときよりも楽しそう」

Aの言葉を聞いたリボーンには心当たりがあった。虹の代理戦争で綱吉の成長を身近で感じられただけでなく、自身の呪いまで解いてもらったばかりだったからだ。

「まぁな」と近くの椅子に座ると、Aはベッドに腰かけて「よかったね」と笑った。

「そういえば覚えてる？未来で、私が京子と綱吉を追いかけた日のこと」
「あぁ」
「あの日、綱吉に振られちゃった」

あの日、獄寺に抱えられて帰って来たAの様子に何かを察していたのか、リボーンは彼女の言葉を特に驚くことはなかった。少しの間をおいて「そうか」とただ一言呟く。

「せっかくリボーン君が背中押してくれたのに」

ごめんね、とAが苦笑いを向けるとリボーンは「頑張ったな」と目の前のベッドに移動して慰めるように彼女の腕をポンポンと軽く叩いた。

その優しさにAはじんわりと目元が熱くなった気がして「本当に、京子は、可愛いんだよ」と言い訳がましく呟く。見た目だけじゃない、心も美しい京子に私が勝てるわけがないのだ。

「綱吉の幸せが、私の幸せだから」

その表情を見て、リボーンは思わず口を閉じる。不器用で、天の邪鬼で、どこまでも一途な彼女に「……アイツもお前もまだまだ若いな」と小さな独り言と笑みをこぼした。

そんな中、突然聞こえてきたノックに驚くと綱吉がひょっこりと扉から顔を覗かせていた。彼は「荷物持つよ」と病室の中に入った瞬間、Aの隣にいたリボーンの姿に目を見開く。

「なっリボーン、朝からいないと思ったらここにいたのか！探したんだぞ！」
「すぴー」
「寝るなよ！」

綱吉は座ったまま寝たふりを続けるリボーンに軽くため息をつき「行こ、A」と彼女の手をとる。その行為が“異性だと認識していない証拠”と気付いたAは、そっと目を閉じた。