180．悲しんでいたわ ページ30
放課後、京子達と綱吉の家に一緒に向かうと到着していたハルちゃんが嬉しそうにクロームちゃんに抱きついていた。どうやらビアンキさん達と既に準備を進めていてくれたらしい。
楽しそうに話すクロームちゃん達に向かってイーピンちゃんが駆け寄る。微笑ましいその姿を遠くから眺めていると「シモンファミリーの子達も呼ぶらしいわよ」とビアンキさんが隣に移動してきた。
「賑やかになりそうですね」
「ええ。そういえばA、ママンが最近あなたを見かけないって悲しんでいたわ」
「奈々さんが？」
「毎朝やってたツナのお迎えも辞めたらしいじゃない」
喧嘩でもしたの、と優しい表情で問いかけられて思わず言葉に詰まる。信用していないわけじゃないけど、隼人の姉という立場や未来での彼女からの期待の眼差しを思い出して「私も最近、寝坊しがちで」と笑って誤魔化した。
少しの間をおいて「そうなの」と笑ったビアンキさんは「たまにはママンに顔見せにきなさい。もちろん私達にも」と頭を撫でてくれた。
その後、次々と現れた炎真や綱吉達と共に沢田家のリビングに集まった私達は、クロームちゃんの歓迎会をスタートさせたのだった。
「モノマネ大会の優勝賞品は、イーピンの作るチャーハンギョーザ券だ」
「よっしゃー！」
「一番ビリは一年間クロームのパシリ決定だ」
「なっ……」
「負けられんな」
モノマネ大会の審査員であるリボーン君の言葉で、思わずぎょっとする彼等。「それはきついっスね」と苦笑いする隼人を眺めていると、ふと炎真からの視線を感じて目を合わせる。ニコッと笑うと彼は一瞬驚いたものの小さく笑った。
非戦闘員の私達がモノマネ大会に参加するのは自由らしく、主にファミリー達が盛り上げてくれるらしい。
トップバッターはランボ君で、炎真のモノマネをしたようだが元ネタを知らない私は似ているのかさえわからない。皆の反応を見る限りそっくりなんだろうな、と考えているとリボーン君が「元ネタを知らない奴が多いから4点だ」とランボ君を蹴り飛ばした。
「奈々さん」
「Aちゃん」
盛り上がっている彼等を他所に、モノマネ大会の様子を遠くから見ていた奈々さんの隣に行く。彼女は軽く目を見開き「風邪はもういいの？」と私の額に触れた。
「もう治ったよ。ありがと」奈々さんの手を両手で包むと、彼女は優しい表情を浮かべて「……よかった」と笑う。
結局、モノマネ大会はレオンの真似をした綱吉が最下位になったようだった。
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作者名：√A | 作成日時：2023年7月6日 19時
