【REBORN】最高の幸せ 4【沢田綱吉】 (ページ29)

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179．今日は泊まりにおいでページ29

「クロームちゃん久しぶり！」

どうやら転入生はクロームちゃんだったようだ。どうしてここに、と嬉しさを感じながらも疑問に思う。「……Aちゃん、京子ちゃん」と俯きながら涙を必死に堪えている彼女の話を聞こうと、京子と目を合わせた。

人の少ない廊下に出て「何があったの？」と質問すると、彼女はゆっくりと口を開いた。たどたどしくも話してくれた内容は、胸が痛くなるものだった。

朝、目が覚めると『出ていくように』という置き手紙と共に並中の制服が残されており、住んでいた場所はもぬけの殻になっていたらしい。

「話してくれてありがと、クロームちゃん」
「うんうん！私達がついてるからね！」

抱きついてきたクロームちゃんの頭を撫でていると、視界の奥で了平さんが手招きしていることに気がつく。「京子」と口の動きと視線を使って伝えると、彼女は慌てて彼のもとへ駆けていった。

静かに泣くクロームちゃんを見る。ボンゴレファミリーの守護者だとは知っているけど、正直彼女の過去はよく知らない。住んでいる場所も同居人がどんな人なのかもわからないけど、何故か今の彼女を見ていて“自分と似ている”と思った。

「……クロームちゃん」

もしかして、一緒に住んでいた人はただの同居人ではなかったのではないか。綱吉の言葉に傷付き、河川敷で独りで泣いた先週の自分と彼女が重なってしまう。もしも私が綱吉を想う気持ちと同じ気持ちを抱えていたのなら、好きな人に“拒絶された”と感じて絶望していることになる。

「クロームちゃん、今日は泊まりにおいで」
「……いいの？」
「もちろん」

「麦チョコ買って帰ろ」と笑いかけてクロームちゃんの頭を撫でると、タイミングよく京子が戻ってくる。2人が話しているのを眺めながら、さっきのは勝手な推測でしかないと自分を落ち着かせて、本人が教えてくれるまで見守ろうと心の中にとどめておくことにした。

「ちゃおっス」
「リボーン君」

そのとき、窓から急に現れたリボーン君に思わず驚く。「今日、クロームの歓迎会をすることになったんだ」と笑ったリボーン君の言葉に軽く嫌な予感がした。

「ツナの家でやるから、A達も準備手伝ってくれ」

「ハルにも声かけてみるゾ」とパラシュートで去っていったリボーン君の背中とクロームちゃんの表情を見て思わず拳に力が入る。綱吉の家、かぁ……。これもクロームちゃんのためだと自身に言い聞かせて「楽しみだね」と2人に笑いかけた。