【REBORN】最高の幸せ 4【沢田綱吉】 (ページ14)

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164．幼馴染でよかったねページ14

「……そうなの？」
「Aは昔から可愛くて優しくて友達も多いんだけど、正反対でダメダメな俺なんかといつも一緒にいてくれたんだよね」

「幼馴染だから」と当たり前のことを言うように淡々と呟いたツナ君は、驚く僕の表情を見て「幼馴染っていう関係のおかげでAと話せてるようなものなんだ！」と苦笑いする。

僕には幼馴染はいない。シモンの皆は昔から一緒に育ってきた家族のような存在。ずっと一緒にいて当たり前の存在なのは変わりなく、ツナ君にとっての彼女は、僕にとっての彼らと同じようなものなのだろうかと疑問に思った。

「幼馴染じゃなかったら……、Aは挨拶すら交わせないような、俺には手の届かない存在なんだよ」

冷たい風が僕達を横切り、一瞬の無言が切なさを感じさせる。その瞬間、ツナ君はAを家族のような大切な存在だと思うと同時に、遠い存在だとも思っていることを知った。

「Aと幼馴染でよかったね」そんな自分の言葉は嫌味をこめたつもりはなくて、ただ羨ましくて素直に出たもの。だってAは、僕とツナ君とじゃ態度に差が……＿＿。

すると、突然彼は何かを思い出したように不思議そうな顔をした。「Aと炎真って仲良いみたいだけど、転校してくる前から知り合いだったの？」と言われて言葉に詰まる。

「そうだよ」
「そうなんだ！前に仲良しって聞いてずっと気になってたんだ」

やっぱりAは顔が広いや、と笑うツナ君の言葉がグサリと胸に突き刺さる。Aのことを全て知っているような悪気のないその一言が、幼馴染のツナ君とただのクラスメイトの自分を比べられているようで少し恥ずかしい。

Aとツナ君のことを考えていると、ふとAの友達の話を思い出す。

「もしかして、笹川さんに告白したって話は嘘なの？」
「え！だ、誰に訊いたのそれ？」
「リボーンだけど」
「あいつ！炎真にまで……」

本当だよ、苦笑いするツナ君の言葉に少し気持ちが揺れた気がした。Aが好きだったのは、笹川さんを好きになる前の話なのかと自己完結させながら「笹川さんとよく話してるよね」と呟くと、ツナ君は「最近話しかけてくれるから」と笑う。

「あ！ごめん、変な話たくさんしちゃって！こんな話、炎真にしかできないから」
「……いいよ、全然。僕は聞くことしかできないけど」
「優しいね、炎真」

君も、Aと同じことを言うんだね。
喉元まで出た言葉をそっと飲み込んだ。