【REBORN】最高の幸せ 4【沢田綱吉】 (ページ12)

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162．告白かなページ12

「落ちるかと思ったね」
「そうだね」
「俺、あんなに大笑いしたの久しぶりだよ」

Dとの戦いから約1週間が過ぎた。今日は朝から犬に追いかけられたり、ツナ君と一緒に逃げてたら遅刻して、アーデルに罰として屋上から宙吊りにされたり……。なんだかんだで楽しかったと思い「僕も！」とツナ君に笑いかけると、彼の様子がいつもと違うことに気付く。

「……」
「告白かな」
「え、えぇ！？」

ツナ君の視線の先には、サッカー部の先輩の後ろを俯いて歩くAがいた。2人は人気のない所へ向かっているようだが、前を歩く彼の頬は微かに赤らんでいて、今から告白するのは目に見えていた。

「そ、そうだよね」と無理して笑うツナ君の視線は彼女達の向かった方向へと向いていて、思わず彼の手を取る。人差し指を口元に持っていき「行こうよ」と小声で伝えると、ツナ君は少しの罪悪感を表情に浮かべながらも早足で前を歩いた。

「やっぱり告白なのかな……」
「あまり聞こえないね」

草むらに身を隠しながら2人の会話に耳を傾けていると、緊張が出てきたのか少し声の大きくなった彼の言葉がはっきりと聞こえてきた。

「Aちゃん、失恋したって聞いたんだけど本当？」

“失恋”。そんな彼女からは想像もつかない言葉が聞こえて軽く戸惑っていると、隣にいたツナ君がビクッと肩を揺らして動揺しているのが伝わってくる。何か事情を知っているのかもしれない、と声をかけようとするとAが口を開いた。

「もしかして花から聞いたんですか？」
「え、あ、うん」
「……もー、内緒って言ったのに」
「好きな人いるって噂、本当だったんだね」

距離の近い2人は壁沿いに並んで立っている。甘い雰囲気の漂うその空気がなんとなく嫌で、目をそらしたくなった。

「君、笹川京子とよく一緒にいるでしょ？あの子が可愛いって噂はよく聞くけど、俺はAちゃんの方が」

そんなときにタイミング悪くチャイムが鳴った。彼等は話を続けているが、チャイムの音がうるさくてここからはよく聞こえない。すると「やっぱり帰ろう」と耳元でツナ君の言葉が聞こえたかと思いきや、強い力でその場から連れ出されていた。

「ご、ごめん痛かったよね！つい……」
「大丈夫だよ」

黙ったまま目の前を行くツナ君は、校門に差し掛かった辺りで我に返ったようだった。ツナ君の隣に並んで歩きながら「よく聞こえなかったね」と呟くと、彼は大袈裟に身体を揺らした。