161．……うーん、そんな感じ ページ11
結局、その翌日に症状が改善するどころか悪化していた私は病院でインフルエンザだと診断されることになる。
約1週間の自宅療養を余儀なくされて何も動ける気力もないと絶望していたときに、タイミング良く仕事から帰宅した母が看病してくれる日々が続いた。
「体調は？」
「だいぶ動けるようになった。ありがとう」
「よかった！作り置きたくさんしてあるから、好きなようにしてね」
いってきます、と言って笑った母親を玄関先で見送り、閉じられた扉を見つめる。今日から登校できるのかと制服に腕を通した流れで暫く開いてなかった携帯をチェックしていると、隼人や京子から複数のメッセージが来ていることに気付いた。
「……あ」そんな中に見つけた綱吉からのたった一言の“大丈夫？”というメッセージ。少しでも喜んでしまったことを恥ずかしく思いながら、ポケットにしまいこんだ。
.
「A！」
「京子、メッセージありがとね」
「大丈夫？連絡つかなくて心配だったんだよ」
「私はインフルなんだから連絡つかないのは当たり前って言ったんだけどね」
久しぶりに教室に入ると真っ先に私の所に駆けてきた京子。「もう平気なの？」と泣きそうな顔をする彼女の様子に呆れたように笑いながら現れた花は、「元気そうね」と微笑む。そんな2人の優しさに触れて温かい気持ちになった。
「え、もしかして休み多い？」
「風邪が流行ってるみたいね」
「へぇ」
「最近はAだけじゃなくて沢田も転校生も皆休んでたから教室ガラガラで……」
「そうなの？」
花の言葉に教室全体を見渡す。すると、見たこともないくらいボロボロの炎真が教室に入ってきて目を見開く。すると、何気なく私の席を一瞥したであろう炎真と偶然目があった。花達と別れて彼のもとへ向かう。
「あれ、A治ったの？」
「うん。それより炎真どうしたのその怪我！また喧嘩？」
「……うーん、そんな感じ」
「なにそれ」
以前からは考えられないような曇りのない笑顔を浮かべる炎真は、私の休んでいたこの1週間に何を経験したのだろう。
照れたように笑っている炎真は、長年の悩みを解決できたような、誰かに心を救われたような、そんな表情を浮かべている。
まさか彼がシモンファミリーのボスで、先日の継承式で綱吉達と対峙し、ボンゴレの守護者達と1週間に
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作者名：√A | 作成日時：2023年7月6日 19時
